■ 中島らも 『微笑家族』 ビレッジプレス 1991年8月刊
本文イラスト 中島らも・わかぎえふ
装幀 下東英夫編集 小堀純
編集協力 日広エージェンシー 朝日新聞大阪本社広告局 JICC出版局 ぴあ
協力 カネテツデリカフーズ
目次
微笑家族
啓蒙かまぼこ新聞・社説シーフード・ラプソディ~好物芳名録
あとがき
「あとがき」より。
僕は広告を信じない。
信じない人間に広告が作れるわけはない。
したがって、僕は広告でない広告を作るしかなかった、ともいえる。幸か不幸か、そこから一歩も抜け出すことができなかった。
「啓蒙かまぼこ新聞・社説」より。
劇団の公演でチクワを使うシーン。次の公演(1週間後)も衣装のポケットに入ったまま。リハーサルでそのシーン、匂う。誰かがイタズラで酢をかけてポケットに入れてあると思った。しかし、異様な匂い、表面ヌルヌル、指がチクワにズブズブと入る。
ようやく1週間前から入れっぱなしであったと気づく。しかし、ここまで腐ったチクワには日常なかなかお目にかかれるものではない。もちろんそのチクワはカネテツデリカフーズのもので、保存料無添加の高級品だった。その時点では、近海ものの鮮魚を使った高級品のみ、保存料無添加だったのである。
さて、この十月一日(’90年)から、カネテツデリカフーズは、全商品を「合成保存料無添加」に完全に切り換える。
チクワ事件のように、腐らせて人を驚かせるためではない。新鮮なうちに、安心しておいしく食べてもらうためだ。
カネテツデリカフーズの全製品は、これから確実に腐る。すべてのまっとうな食べものがそうであるように、放っておくと腐るのだ。
ちゃんといいところをアピールしている。
(平野)
本書を自分は持っているものとずっと思っていたが持っていなかった。村田社長の本棚から借りてきた。