2014年7月29日火曜日

画集 神戸の異人館


 広瀬安美 『画集 神戸の異人館』 神戸新聞事業社 1974年(昭和4911月刊

 神戸新聞夕刊の広告ページに掲載した「エキゾチックコウベ・神戸の異人館」をもとに出版。版元は「神戸新聞総合出版センター」の前身。

……異人館をかいて一番困ったのは、応接間や食堂まで、つまり一階は見せるが二階はオフリミットだというのには参った。外人がいうだけでなく、異人館に住むと日本人までみなプライベートルームはお断りとくる。民家を長年描いてきたが、日本で一・二は少し大ゲサにしても、それ位の家でも訪ねてワケを話せば、すこしくらいな異様な風態にかかわらず、各部屋まで案内し主人なり婦人みづからが説明してくれる。まあ神戸にも国の重文のハッサム邸とハンター邸はたのめば、内部もそっくり見せてはくれるが、人が生活していない建物は、いくら体裁が整っていても、これほど味気なく、見て面白味のないものはない。私が犬山の明治村を訪れない理由もそれであるし、大阪府の豊中市服部の民家集落に一度も足を踏み入れないのも、そこには人間の暮らしがないからで、無住の異人館もしごとなら見もするし、描きもするが、自分から進んでやる仕事ではにと思っている。……

 






 写真はケース表、裏、本体、扉。
 残っていない建物がたくさん。貴重な画集。
(平野)
 
 本書も村田社長から。明石の広瀬宅を訪問したことがあるそうで、広瀬の絵に描かれる女の子のモデルは夫人である、と村田社長の証言。
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