■ 阪神・淡路大震災後(2)
仲間のなかには商売を休む人もいる。仮設住宅の抽選にはずれた人も。家庭、仕事、財産をなくし、借金がふえ……。被災者も明暗さまざま。立ち上がれた人、まだの人、孤独死、自殺、アルコール依存など。
7月から島田は兵庫県の被災者復興支援会議の委員にもなった。仮設を回り、被災者の声を直接聞いたとき、役人と間違われて怒鳴られたり詰問されたり苦情を言われる。
私など素人に何ができるのかと自問しながらの日々だ。しかし、素人であることを恐れずに率直に被災者と行政の間に立ちたいと思う。
95年の夏は暑かった。仮設の室内温度は40度を超え、テント村では50度超。大災害での個人損害を、国家として補償できないと言いながら、企業や商店街・団体には手厚い施策が用意されている。法制度がないと言うなら、それに対応するのが“政治”の役目だと、島田は考える。
島田は本屋の店頭にいて、「市民が語り出した」という実感がある。子どもの夏休み用のコーナー、「戦後50年を考える」フェア、それに「地震の本」コーナーが賑わっている。
まだ、続々と震災関係の本が出版されている。きっちりと記録し、風化させずに自らを問い直したいという欲求が、本を作らせ、読ませている。
かつて、この地から、これだけの本が出版されたことはない。子どもが、主婦が、消防士が、先生が、医者が、警察官が、商店主が、じつにさまざまな人が自らの体験を活字にし、本として出版した。
……この現象が単に被災地内部だけのものでなく、市民社会の実現へとつながっていくことを祈っている。
(平野)
名古屋のGF・K子ちゃんのフェア写真。プーおじさんの本まで並べてくれるという、賢いのか、お調子者なのか、“美・優・勇(?)・力”兼備書店員。ありがとう。
S文館本店様、ありがとうございます。