2018年7月8日日曜日

泥濘


 黒川博行 『泥濘(ぬかるみ)』 文藝春秋 1800円+税
 

 喧嘩上等極道・桑原(金の計算と先を読む頭脳あり)と建設コンサルタント・二宮(建設現場などでややこしい組織の妨害を抑えるため別のややこしい組織を斡旋する)のコンビが、悪党の上前をはねる人気シリーズ、「疫病神」。今回は『週刊文春』連載。

ターゲットは警察幹部OB。暴力団とつるんで診療報酬や老人福祉を食い物にし、オレオレ詐欺の黒幕。「泥濘」とは腐敗した組織か、血まみれの抗争か。二宮は攫われ、桑原は撃たれる。

 二人の会話は漫才、じゃれ合っているようにも見える。二宮は毎回危ない目に遭うのに、結局金欲しさで桑原について行く。

(平野)
 集中豪雨被害、お見舞い申し上げます。

《ほんまにWEB》「いろやぎくろやぎ」更新。

本日のPR誌、『scripta』no.48(紀伊國屋書店)。世界を駆け回る編集者・写真家の日記に「フランス書院文庫読書会」実現の話。
……日本のオトコの妄想力育成にそうとう役立ってきた「夜の岩波文庫」のはずなのに、きちんと語るひとがほとんどいないのがつねづね残念でたまらなかった。(中略)僕の理想の本屋とは、岩波文庫とフランス書院文庫が並んでる店なので。〉
 たいていの大書店はフランス書院を置いていない。私は文庫担当の時に置いていたが、担当替えになったら新担当者は撤去した。