2023年2月28日火曜日

半七捕物帖傑作選

2.25 図書館、貫一調べ。小泉八雲書簡入手の経緯。

 ギャラリー島田のDM作業が本日に変更。3月展示は精神科医・中井久夫を偲ぶ。別項をご覧下さい。

 家人は昨日から横浜孫のところ。ついでに親戚受験生親子と会う。ヂヂしばしぐうたら生活。

2.26 「朝日歌壇」より。

〈「老獪」と「労咳」の間に抜け目なく「老害」居据わる『新明解辞典』 (札幌市)田巻成男〉

 訃報、西山太吉記者。

 ぐうたらながら図書館まめに通う。「西村貫一」調べにわくわくしている。

 

 よそ様のイベント

「こころを観る 時代を観る――中井久夫さんを偲んで」

ギャラリー島田 34日(土)~329日(水) 11001800

但し7日・17日(水)休み




 精神科医・中井久夫、神戸大学・甲南大学名誉教授。昨年88日逝去。統合失調症治療で大きな業績を残し、1995年阪神淡路大震災では被災者の心のケアに尽力。

 ご家族、友人皆さんの協力を得て、著作を中心に書簡、自筆原稿、愛用品などを展示。外国詩翻訳、エッセイなど中井の幅広い活動を紹介し、追悼する。

何故ギャラリーで精神科医の追悼展か。97年のギャラリー社長・島田誠が中井と対談。中井の著書『戦争と平和 ある観察』(人文書院2015年、増補新装版2022年)に収められている。

  ちょうど読む本がなくなって、短篇集に手を伸ばす。

 ちくま文庫、半七捕物帖傑作選2冊、岡本綺堂著 北村薫/宮部みゆき編 

『読んで「半七」!』20097月二刷) 

『もっと「半七」!』20096月一刷)



〈「捕物帳というのは与力や同心が岡っ引きらの報告を聞いて、更にこれを町奉行所に報告すると、御用部屋に当座帳のようなものがあって、書役が取りあえずこれに書き留めておくんです。その帳面を捕物帳と云っていました」と、半七はまず説明した。〉

 明治20年代から30年代、元岡っ引きの半七老人が青年に昔の事件を語って聞かせる、という体裁。お化けや幽霊のしわざか、不可解な事件ばかり。半七は筋道立てて考えて解決していく。指紋や法医学などない時代、推理と地道な探索、それに十手にものを言わせて少々強引な拘束もある。

 綺堂はシャーロック・ホームズを愛読したそう。江戸の風俗にも詳しい。

 金、男女のもつれ、妬み、怨み、悪巧み、妖怪幽霊怖いけれど、人間が一番残酷、悪い。

(平野)

2023年2月25日土曜日

憧れの住む東京へ

2.23 午前中に用事すませ、昼飯早めに食べて、図書館。毎回同じ本を書庫から出してもらう。

2.24 NRくららさんから緊急メール。昨年旧知のベテラン出版営業氏が引退。故郷で焼き芋屋図書館開業。テレビ番組で紹介されることに。

2023225日(土)18時~1830分 テレビ朝日「人生の楽園」

石川・金沢市~図書室のある焼き芋屋さん~

「図書室のある焼き芋屋 ハレオトコ」

https://www.tv-asahi.co.jp/rakuen/#nextweek


 岡崎武志 『憧れの住む東京へ』 本の雑誌社 1800円+税



 上京者と文学・芸術、岡崎の執筆テーマのひとつ。これまでに『上京する文學 春樹から漱石まで』(新日本出版社、ちくま文庫)、『ここが私の東京』(扶桑社、ちくま文庫)を上梓。岡崎自身も30歳を越えてから上京、34年目を迎える。憧れの、花の都に若者たちはどんな夢を持って上京してきたのか、その夢を叶えたのか、どこに住んでどんな人生を歩んだのか。6人の上京と東京物語。

赤瀬川原平  前衛に押し流された東京の足跡

洲之内徹  銀座「気まぐれ美術館」への道

浅川マキ  雨降る新宿の黒の歌姫

田中小実昌   路線バスで知る東京のもう一つの顔

山之口貘  沖縄から池袋へたどり着いた放浪詩人

耕治人  野方に苦しみ生きた二人ぼっちの二人

〈江戸が世界有数の過密人口都市になって以来、大量の地方出身者を受け止め、泳がせてきたのが首都・東京だ。「一旗揚げる」「故郷に錦を飾る」など、過剰なエネルギーを蓄えて、上京者は東京を目指し、ある者は失望して故郷へ帰り、ある者は居場所を見つけてこの街になじんでいく。最初から東京に生まれ育った人たちにとっては、東京についての感情が、もう少し淡白のように思える。その淡白さこそが、江戸っ子の「粋」でもあったのだ。/しかし「粋」なだけではエネルギー不足だ。上京者の野暮だが純粋な「憧れ」が、東京という大都市を作ってきたのだと私は考えている。(後略)〉

(平野)

2023年2月23日木曜日

晴れときどき涙雨 ハルキ文庫

2.21 訃報。松本零士。私は『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』よりも『男おいどん』のラーメンライス、さるまたけが印象に残る。ご冥福を。

「朝日新聞」鷲田清一・折々のことば。

〈本当に面白い本は、どのコーナーに置いてよいかわからない本です。 福嶋聡(あきら)〉

 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店勤務。

「朝日新聞デジタル」2.14「本屋ないと本当に困る?」より。有料記事、一部だけ読める。

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230213001436.html 

 本日も午前中図書館、貫一続き。

2.22 「朝日新聞」鷲田清一・折々のことば。

〈売上を伸ばすという意味で会社を大きくするよりも、会社がよりよくなっていくことのほうが何倍もいい。 佐藤友則〉

 広島県庄原市の書店「ウィー東城店」店主。夏葉社・島田潤一郎との共著『本屋で待つ』(夏葉社)より。

 髙田郁 『晴れときどき涙雨』 ハルキ文庫 600円+税



 時代小説作家として順風満帆。でもね、進路挫折、失業、重傷、看護、介護、友の死など雨風大嵐も経験。1993年から漫画原作で作家生活に。2008年時代小説デビュー。取材、資料調べを丁寧に行い、関係者に礼を尽くす。編集者、営業マン、それに書店員にも心配り。何より読者を泣かせ、喜ばせる。暖かくて、明るく優しい、元気でちょっと声でかい、ときどきしんみりのエッセイ集。

 本書は同名タイトルで3冊目、改版のたびに書き下ろしを加えている。

私は彼女が主人公をどん底に落とすたびに「サド作家」と罵るけれど、最後は日本晴れにしてくれる。海文堂書店の思い出を書いてくださった。感謝申し上げるが、ちょうど電車内読書中、じんわり小雨。ヂヂの瞳ウルウルはカッコ悪い。誰も見とらんけど。

(平野)

2023年2月19日日曜日

進駐軍を笑わせろ!

2.15 「熱風(ジブリ)」2月号〈追悼渡辺京二〉。若松英輔「光の思想家」。編集部「ありがとう渡辺さん」。



 娘から宅配便あり、いっしょに姉孫の手紙、かわいいシールいっぱい。

2.16 図書館の蔵書検索で出てこない本。司書さんに問い合わせると書庫にあり。西村貫一関係書、出してもらえた。ルンルンだが、一度には読めない。何回も通わなくては。

 午後買い物に出て、寒い、元町駅前でBIG ISSUE449。本屋さん、単行本と文庫各1冊。レジは数ヵ月ぶりに刈り上げさん(私が勝手に呼ぶだけ、現在は頭刈り上げていない)に当たって挨拶。



2.18 午前中臨時出勤。午後図書館、貫一続き。宝物のような文章が続々出てくる。早く紹介したいけれど、時間かかる。

2.19 「朝日歌壇」より。

〈廃校に一人残され本を読むさびしからずや庭の金次郎 (船橋市)清水渡〉

 

 青木深 『進駐軍を笑わせろ! 米軍慰問の演芸史』 平凡社 3800円+税



 戦争が終わっても兵士たちはすぐに帰国できない。不満解消、ストレス発散のため、米軍はまず自前で娯楽を用意した。本国から芸能人を呼んだり、兵士自身が芸を披露したり。そのうち日本の芸能人が招かれ、日本人による芸能人斡旋会社が組織される。日本交通公社も参入した。

 戦後日本の若いミュージシャンたちが米軍基地や外国人クラブで演奏して、腕を磨き、プロデビュー、という話はよく聞く。昭和戦後のスターたちが誕生した。ことばの説明なくても受け入れられる。提供された芸能のうち7割は「軽音楽」分野だった。ところが、本書では歌舞音曲は最後に紹介。ことばの壁を越えて異国の兵士たちを笑わせ驚かせ(帯には「涙させた」も)バラエティショーの芸人たちがいた。

 ベテラン芸人と弟子、子ども含む家族、日系人、アメリカ帰り、様々な芸人が活躍した。紙切り、ジャズ漫画、奇術、曲芸、百面相、腹話術、太神楽など、寄席では色物と呼ばれ、トリの落語を盛り立てる芸。頭だけで逆立ちしてそのまま階段を登る、という芸もあった。

 著者は1975年生まれ、都留文科大学教授、歴史人類学、ポピュラー音楽研究。芸能関係誌紙、米軍人向け新聞、アメリカの新聞を掘り返し、博物館にも足を運ぶ。当時の芸人や弟子に取材、彼らの芸を書き残す。

 太神楽は伝統芸で、単なる曲芸ではない。獅子舞や歌舞伎のパロディ劇、楽器に歌に踊りもある「総合的な芸能」。長年の修業、稽古を重ねた末の多種多様な芸で長時間飽きさせないし、短い時間でもできる。バランス芸などの曲芸は海外にもあるから兵士たちも楽しめた。昭和平成の人気芸人、海老一染之助・染太郎は日本語の掛け声と英語的合いの手で演じた。

〈つまり、彼らはただ曲芸師であるだけでなく、「万芸の人」でなければならなかった。しかし一舞台が一五分程度のショーでは、たとえ「万芸の人」であったにしても、それを存分に活かすことは難しい。むしろ「一芸」をコンパクトに見せることが求められ、戦後の米軍慰問ショーでは、その需要に「太神楽の曲芸」が見事にはまったのだ。〉

 バラエティというと、テレビ番組でお笑い芸人さんが面白話をしている。でもね、ほんとうは本物の芸のこと。アスリート、アーティストである。

(平野)

2023年2月14日火曜日

貸本屋おせん

2.11 午前中図書館、「西村旅館」調べ。貫一訃報記事探す。

午後は東灘区までギャラリー島田スタッフの資料拝借に同行。昨年亡くなった精神科医と親交された英文学者を訪ねる。本の山の仙人か、はたまた魔法学校のプロフェッサーか。庭に小さなお社あり、玄関入ればドードー鳥がお出迎え。故人の書簡や冊子を開いて、詩を通じた知的交流の一端を話してくださる。ギャラリー3月の企画展が楽しみ。私は懐かしの海文堂書棚と対面。閉店後引き取っていただいた。普通の家には入らない高さ。

2.12 「朝日歌壇」より。

〈気散じに出てきただけの駅ビルに糖分塩分控え本買う (豊橋市)滝川節子〉

 今日も図書館、貫一訃報探し。

2.14 訃報。人形作家・辻村寿三郎。

 

 高瀬乃一 『貸本屋おせん』 文藝春秋 1800円+税



 100回オール讀物新人賞受賞。

 江戸文化年間、おせんは貸本の荷を背負い歩く。書物問屋から仕入れる新本や錦絵、古本、蔵書家の本を書き写した写本。本を貸すだけではなく、本探し、恋のとりもち、殺人事件、滝沢馬琴新作の板木盗難、女郎の足抜けなどなど、事件に巻き込まれ、首を突っ込み、助けてくれる男共をあしらいながら、解決に一役買う。

 父は「後れ毛平治」と呼ばれた彫師だったが、お上の出版統制によって罰を受け、職を失い、自殺。おせんに禁書を遺した。おせんにも役人の目が光る。

〈この世に出まわっている本を、ただけしからんという理屈だけで消しさってはいけないと、せんは思っている。/本は一場にたわむれだ。ありもしないことを、さも当たり前のごとく書き記した本や絵巻は、人の目にふれなければ無いに等しい。だったら無くてもいいと御公儀は断ずるのだろうが、ささやかなたわぶれ心によって、町の民びとは生きる希(のぞ)みを得ることもあるのだ。〉

(平野)時代物、次作が楽しみな作家さんが続々。

2023年2月11日土曜日

作家の証言 四畳半襖の下張裁判

2.8 トルコ大地震、ニュースのたびに犠牲者が増えていく。

 職場近所の武術家さんがヒートショックで亡くなったと聞く。体力・体格・鍛錬は関係ないのか。挨拶をするだけのお付き合いだが、ショック大きい。

2.9 訃報。政治評論家・森田実。

2.10 訃報。永井路子、バート・バカラック。

 

 丸谷才一編 『作家の証言 四畳半襖の下張裁判 完全版』 

中央公論新社 3600円+税



 初版は1979年朝日新聞社刊。本書は「四畳半襖の下張」も収録。

 1972年雑誌「面白半分」7月号に、金阜山人戯作「四畳半襖の下張」掲載。編集長・野坂昭如と発行者・佐藤嘉尚がわいせつ文書販売として警視庁より摘発された。刑法175条。罪を認めて罰金を払って収めることができたが、野坂と佐藤は裁判で争う。

 739月公判開始、764月一審有罪、793月二審有罪、最高裁上告棄却、8011月有罪確定。野坂罰金10万円、佐藤15万円。

 わいせつとは? わいせつの基準? 国家が決めるのか? そもそも「四畳半~」はわいせつか? 

 証人として出廷したのは14人。作家仲間、学者、編集者、主婦もいた。本書には被告・野坂、特別弁護人・丸谷才一の弁論、作家9名の証言を収録。それぞれが文学論・荷風論・わいせつ論を語る。検察側は聞き流すだけ。

「四畳半~」は永井荷風が大正時代に密かに書いた作品。江戸戯作者の文体、エロチックな短篇小説。これまで異本や偽本が出まわったことがある。1948年に既にわいせつ文書で摘発されていた。作品の一部。

……女は胴のあたりすこしくびれたやうに細くしなやかにて、下腹ふくれ、尻は大ならず小ならず、円くしまつて内股あつい程暖に、その肌ざはり絹の如く滑なれば、道具の出来すこし位下口なりとて、術を磨けば随分と男を迷しうるべし。……

 五木寛之 〈私の考えで、わいせつというのは大変月並みな言い方ですけれども、懦夫をしても立たしめるていの、そういうものだろうと思うんです。〉

 井上ひさし〈わいせつという言葉を抜きにして、たとえば「善良な性的道義観念」といった場合、「善良」と「性的」とそれから「道義」と「観念」と、ばらばらにしますと、辞書ふうに全部わかるわけです。これがくっついたときにわかりませんですね。〉

 開高健は、名前の「開」は春本では「女性器」を指す、という。「四畳半~」にも「開中火のごとく」「開中おのずから潤い」の表現あり。「開が高く健やか」という破廉恥な名前だが、とがめられることはない。〈わいせつ感の根拠は、きわめてぼうばくとしている。〉

  有吉佐和子は、野坂は有罪になれば「一種思想犯みたいな形で」「欣喜雀躍として」牢屋に入るだろう、と語る。〈彼は作家であるにもかかわらず、編集者として裁かれている。で、編集者として前科者になるかもしれない。これは、おそらく彼としては残念だろうと思います。〉

(平野)権力は憲法違反とか表現・言論の自由と言われると頑なになるのでは。40年前作家たちは立ち上がった、というより権力をおちょくったのでは? 時間と労力をかけて。

2023年2月7日火曜日

いちにち、古典

2.5 「朝日歌壇」より。

〈京橋に勤めていた日もろともにさよなら八重洲ブックセンター (千葉市)高橋好美〉

〈文字のない絵本に物語(ストーリー)つづるごと新雪に吾とキツネの足跡 (恵庭市)五十嵐容子〉

 図書館、「西村旅館」調べ。西村貫一主宰・へちまくらぶ発行『虜囚』を借りる。フィリピン戦犯収容所の元日本兵たちが獄内で綴った詩歌誌。謄写版で復刻。

 


2.6 「朝日新聞」鷲田清一「折々のことば」。

〈一冊の本には、その中に大きな世界がある、という神通力があった。 桐野夏生〉

「みなと元町タウンニュース」366号着。拙稿は「西村貫一旅館経営専念」の巻。

Web版も更新。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/townnews-no366.php

 

2.7 訃報。政治家・横路孝弘、アダム・スミス研究・水田洋。

 

 田中貴子 『いちにち、古典 〈とき〉をめぐる日本文学誌』 

岩波新書 900円+税



「日本古典文学のなかに現れる〈とき〉とそれをめぐる人々のものがたり」。著者は甲南大学文学部教授、日本中世文学専攻。

 近代以前の「あさ」「ひる」「ゆう」「よる」「まよなか」は現代の一日とは違う。先祖たちは一日をどのように行動し、何を思い、表現したのか。

時間の計り方・表示法が二つあった。

不定時法、日の出から日暮れを基準に昼夜を別々に等分する。季節や場所(緯度・経度)によって1時間の長さが異なる。「明け六つ」「暮れ六つ」。

定時法、1日を12等分。季節、昼夜関係なし。十二支を当て、子の刻(午後11時から午前1時)、午の刻(午前11時から午後1時)など。それぞれの刻(2時間)を30分刻みに4等分して、「丑一つ」「丑三つ」。

たとえば「あさ」。私たちは鶏が鳴くのは早朝と思っている。「鶏鳴」は八つ時、丑の時、現在の午前2時。鶏は「ともに夜をすごした男女が別れる時刻」に先駆けて鳴く。

「暁」は寅の時、七つ、午前3時。男女がいよいよ別れる時間、「あかつきの別れ」「後朝の別れ」だ。「あかつき」は朝にもっとも近づいた夜。「しののめ」は明ける一歩手前、「あけぼの」は空が明るくなる頃。また「あかつき」は孤独な思索の時でもある。

 自然、世の無常、恋愛、生活、思索などなど、古来微妙な時の経過とともに表現してきた。

「古典文学は捨て置かれた過去ではなく、現在へ、そして未来へと進化する種子を孕んでいるものなのだ」

「その種はそれぞれの時代で静かに花を咲かせているのである」

(平野)原典のあとすぐに現代語訳あり、助かります。ヂヂは時代劇見ていて、「明け六つ」や「丑三つ」がごっちゃになって訳わからなかった。別の時間表示だったのね。

2023年2月5日日曜日

ROCA

 2.2 BIG ISSUE448、特集「フェミニズムの来た道」。

 


「月刊みすず」1.2月合併号、「読書アンケート特集」。ざっとめくっただけだけど、いつも書店員・店主は3名寄稿なのに、今回1名のみのよう。本誌は8月号で休刊する由。私はこの号しか買わないので申し訳ないこと。

 


2.3 訃報。毎日放送アナウンサー・高井美紀。ご冥福を。

 孫電話。姉は幼稚園で豆まき、大きい鬼さん(お父さん有志)が怖かったらしい。家の鬼役パパさんは仕事から未帰宅。姉・妹「おにはそと、ふくはうち!」と叫ぶ。ふたりの大声で本物の鬼も逃げるでしょう!

 

2.4 「朝日新聞」鷲田清一「折々のことば」。

〈戦争を知る者が引退するか世を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない。 中井久夫〉

 中井は精神科医、神戸大学・甲南大学名誉教授。阪神淡路大震災後、被災者の心のケアに尽力。また戦争と平和について積極的に発言。昨年8月逝去。ギャラリー島田で追悼展覧会を準備中の由。

中央図書館、「西村旅館」調べ。年末から新システム導入のため休館していた。スマホ版図書館カード、マイナンバーカードで貸し出し、検索・予約も便利になるそう。

直販の本、いしいひさいち『ROCA』着。

 

 いしいひさいち 『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』 

(笑)いしい商店 1000円(税込)+送料

https://www.ishii-shoten.com/honnmaru/rocaw09.html

 


 朝日新聞連載「ののちゃん」に登場する女子高生ロカ。ポルトガルの歌謡「ファド」の歌手をめざす。彼女の成長物語を4コマ漫画で綴る。

〈これは、ポルトガルの国民歌謡『ファド』の歌手をめざすどうでもよい女の子がどうでもよからざる能力を見出されて花開く、というだけの都合のよいお話です。〉

(平野)

2023年2月2日木曜日

鶴光、何さらしてけつかんねん!

1.30 孫電話。姉はあやとりに熱中。覚えた技を見せてくれる。妹は何でも姉と同じことをしたい。あやとりの紐が足や首にからまる。いっしょにテレビアニメの歌を歌って踊る。

2.1 天気予報は寒さ少し弱まる、と。でも寒い、冷たい。霜焼けなかなか治まらず。居住者の「ごくろうさん」「ありがとう」の声が暖かい。


 笑福亭鶴光 『六代目松鶴逸話 「鶴光、何さらしてけつかんねん!」』 飯塚書店 1600円+税



 六代目笑福亭松鶴(19181986年)の豪放落語家人生の一端を弟子の鶴光(つるこ)が語る。

 松鶴は桂米朝、桂春団治、桂小文枝とともに上方落語の四天王。戦後の落語復興、弟子育成、興業に貢献。性格イラチ、自分勝手、口より先に手、酒呑み、女性問題、貧乏長屋暮らし……、他の3人と比べて「大阪おっちゃん度」高い。逸話多く、いつの間にか初代春団治の話として広まったエピソードもある。税金払えず税務署に口に差し押さえの紙を貼らせた、というのは松鶴の実話らしい。松鶴の自慢話(?)もどこまで真実かホラか不明。今も直弟子、孫弟子がまくらに松鶴のエピソードやモノマネを披露する。厄介だけど愛敬のある師匠。

 鶴光も鶴光で、弟子入りを申し込むのに往復はがきを出した。「弟子にするなら しないなら× 返事ください」。師匠の名前を間違えていた。「松福亭松鶴」。

大阪の劇場では漫才がトリ、落語は添えもの的存在。お客も落語に関心なし、休憩タイム。松鶴はたいてい「相撲場風景」、酔っ払いが一升瓶に用を足す噺で高座を降りる。鶴光は楽屋で松鶴に面会し、入門を許された。松鶴が落語を聞いて帰れと言う。十八番の「高津の富」を演じた。お客は超満員だが反応なし。鶴光一人のため、この日この時の噺、一期一会。

……この人に自分の人生を預けてみよう、と心の中の自分にそっと語りかけました。〉

 書名の「さらして」は動詞「さらす」=「する」。「けつかん」は「けつかる」、動詞「いる、する」に付く。どちらも相手を罵倒するから、二重の罵倒・悪態。「ねん」は助詞「の、のだ」、断定と疑問に使う。口に出すと「なんさらしてけっかんねん」となる。

(平野)