2023年2月7日火曜日

いちにち、古典

2.5 「朝日歌壇」より。

〈京橋に勤めていた日もろともにさよなら八重洲ブックセンター (千葉市)高橋好美〉

〈文字のない絵本に物語(ストーリー)つづるごと新雪に吾とキツネの足跡 (恵庭市)五十嵐容子〉

 図書館、「西村旅館」調べ。西村貫一主宰・へちまくらぶ発行『虜囚』を借りる。フィリピン戦犯収容所の元日本兵たちが獄内で綴った詩歌誌。謄写版で復刻。

 


2.6 「朝日新聞」鷲田清一「折々のことば」。

〈一冊の本には、その中に大きな世界がある、という神通力があった。 桐野夏生〉

「みなと元町タウンニュース」366号着。拙稿は「西村貫一旅館経営専念」の巻。

Web版も更新。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/townnews-no366.php

 

2.7 訃報。政治家・横路孝弘、アダム・スミス研究・水田洋。

 

 田中貴子 『いちにち、古典 〈とき〉をめぐる日本文学誌』 

岩波新書 900円+税



「日本古典文学のなかに現れる〈とき〉とそれをめぐる人々のものがたり」。著者は甲南大学文学部教授、日本中世文学専攻。

 近代以前の「あさ」「ひる」「ゆう」「よる」「まよなか」は現代の一日とは違う。先祖たちは一日をどのように行動し、何を思い、表現したのか。

時間の計り方・表示法が二つあった。

不定時法、日の出から日暮れを基準に昼夜を別々に等分する。季節や場所(緯度・経度)によって1時間の長さが異なる。「明け六つ」「暮れ六つ」。

定時法、1日を12等分。季節、昼夜関係なし。十二支を当て、子の刻(午後11時から午前1時)、午の刻(午前11時から午後1時)など。それぞれの刻(2時間)を30分刻みに4等分して、「丑一つ」「丑三つ」。

たとえば「あさ」。私たちは鶏が鳴くのは早朝と思っている。「鶏鳴」は八つ時、丑の時、現在の午前2時。鶏は「ともに夜をすごした男女が別れる時刻」に先駆けて鳴く。

「暁」は寅の時、七つ、午前3時。男女がいよいよ別れる時間、「あかつきの別れ」「後朝の別れ」だ。「あかつき」は朝にもっとも近づいた夜。「しののめ」は明ける一歩手前、「あけぼの」は空が明るくなる頃。また「あかつき」は孤独な思索の時でもある。

 自然、世の無常、恋愛、生活、思索などなど、古来微妙な時の経過とともに表現してきた。

「古典文学は捨て置かれた過去ではなく、現在へ、そして未来へと進化する種子を孕んでいるものなのだ」

「その種はそれぞれの時代で静かに花を咲かせているのである」

(平野)原典のあとすぐに現代語訳あり、助かります。ヂヂは時代劇見ていて、「明け六つ」や「丑三つ」がごっちゃになって訳わからなかった。別の時間表示だったのね。