2023年2月2日木曜日

鶴光、何さらしてけつかんねん!

1.30 孫電話。姉はあやとりに熱中。覚えた技を見せてくれる。妹は何でも姉と同じことをしたい。あやとりの紐が足や首にからまる。いっしょにテレビアニメの歌を歌って踊る。

2.1 天気予報は寒さ少し弱まる、と。でも寒い、冷たい。霜焼けなかなか治まらず。居住者の「ごくろうさん」「ありがとう」の声が暖かい。


 笑福亭鶴光 『六代目松鶴逸話 「鶴光、何さらしてけつかんねん!」』 飯塚書店 1600円+税



 六代目笑福亭松鶴(19181986年)の豪放落語家人生の一端を弟子の鶴光(つるこ)が語る。

 松鶴は桂米朝、桂春団治、桂小文枝とともに上方落語の四天王。戦後の落語復興、弟子育成、興業に貢献。性格イラチ、自分勝手、口より先に手、酒呑み、女性問題、貧乏長屋暮らし……、他の3人と比べて「大阪おっちゃん度」高い。逸話多く、いつの間にか初代春団治の話として広まったエピソードもある。税金払えず税務署に口に差し押さえの紙を貼らせた、というのは松鶴の実話らしい。松鶴の自慢話(?)もどこまで真実かホラか不明。今も直弟子、孫弟子がまくらに松鶴のエピソードやモノマネを披露する。厄介だけど愛敬のある師匠。

 鶴光も鶴光で、弟子入りを申し込むのに往復はがきを出した。「弟子にするなら しないなら× 返事ください」。師匠の名前を間違えていた。「松福亭松鶴」。

大阪の劇場では漫才がトリ、落語は添えもの的存在。お客も落語に関心なし、休憩タイム。松鶴はたいてい「相撲場風景」、酔っ払いが一升瓶に用を足す噺で高座を降りる。鶴光は楽屋で松鶴に面会し、入門を許された。松鶴が落語を聞いて帰れと言う。十八番の「高津の富」を演じた。お客は超満員だが反応なし。鶴光一人のため、この日この時の噺、一期一会。

……この人に自分の人生を預けてみよう、と心の中の自分にそっと語りかけました。〉

 書名の「さらして」は動詞「さらす」=「する」。「けつかん」は「けつかる」、動詞「いる、する」に付く。どちらも相手を罵倒するから、二重の罵倒・悪態。「ねん」は助詞「の、のだ」、断定と疑問に使う。口に出すと「なんさらしてけっかんねん」となる。

(平野)