2020年2月29日土曜日

ぞうくんのさんぽ


2.24 ギャラリー島田「暮らしの中の永田耕衣」、俳句と書。「悪筆」と言われるそうだが、私には判断つかない。同時開催の「金子善明展」は本を使った〈知層・地層〉シリーズ。人類の知と暴挙、自然災害も表現。ラテン語の聖歌本や江戸の和本、現代の文庫もあり。何の本が姿を変えたのか1冊1冊知りたい。島田社長とランチ。帰宅して元町原稿「ブラジル移民」。

2.25 ヂヂひとり映画、シネ・リーブル神戸「ゴッホとへレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝」。ヘレーネ・クレラー=ミュラーは個人でゴッホ作品約300点蒐集。夫はオランダ有数の資産家だったそうだが、栄枯盛衰は世の常。ヘレーネは蒐集品が散逸せぬよう、美術館建設を条件にしてオランダ政府に寄贈。1938年、夫人の名を冠した「クレラー=ミュラー美術館」が誕生した。
 帰りに元町事務局に「ブラジル移民」原稿届ける。早速ミス指摘され、訂正。我ながら呆れる。
 確定申告書類作成して税務署。私は年金受給者・パート労働者、申告の必要があるそう。窓口で納付。
 娘から「一時独居老人」に生存確認メール。孫の写真あり、絵本持ってうれしそう。またまたヂヂバカチャンリン。『ぞうくんのさんぽ』(なかのひろたか、なかのまさたか、福音館書店)シリーズ。
 家人帰宅、土産は地産ビール。



2.27 『ひょうご部落解放』(ひょうご部落解放・人権研究所)で年23回本の紹介をしている。社会運動団体の機関誌だから一般書店には並ばない。わりとマジメに書いている。次号原稿を送付、都築響一『独居老人スタイル』(ちくま文庫)

2.28 山折哲雄・綱澤満昭『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(海風社)、宗教学者と思想史研究者が宮沢賢治の思想と文学――「雨ニモマケズ」手帳、友、農、宗教、戦争観を語り合う。書名は山折「あとがき」の詩から。
 コロナ騒ぎで3.1(日)の落語会中止決定。残念、家でビデオ。
(平野)

2020年2月23日日曜日

レモンと『漱石全集を買った日』


 2.20 寒くても散髪はせねばならぬ。「カゼひくで、毛―少ないのに!」の声。
 本屋さんで注文品受け取り。山折哲雄・綱澤満昭『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(海風社)、「雨ニモマケズ」の「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」。「ヒデリ」は「ヒドリ」?
 矢代幸雄『藝術のパトロン 松方幸次郎、原三渓、大原二代、福島コレクション』(中公文庫)、美術史家で松方コレクションのアドヴァイザー。




 帰りに花森書林100円棚。矢代『安井・梅原・ルノアール・ゴッホ――近代画家群――』(新潮社、1953年)中村茂隆『あの戦争から震災まで』(中村茂隆エッセイ集刊行会、1996年)、神戸大学名誉教授、作曲家。


 
 2.21 朝日新聞「折々のことば」、2日続けて矢部潤子『本を売る技術』(本の雑誌社)から紹介。矢部と版元営業・杉江由次のことば。
 ヂヂバカチャンリン孫写真。おとうさんが買った本、山本善行・清水裕也『漱石全集を買った日』(夏葉社)とレモンを持って。
 
 

 2.23 相変わらず図書館で「ブラジル移民と神戸」。「国立移民収容所」開設時の新聞を見ていたら、「旧三宮駅前浜側に軒を並べた古本街」の記事あり。「旧三宮駅」とは現在の「元町駅」のこと。「旧」とは鉄道高架化(1931[昭和6]年開通)のため新「三宮駅」誕生が決まっていたからか? 「元町駅」が開設されるのは1936[昭和11]年。
 記事では、当時神戸の古本屋さん約150軒、生田神社周辺に178軒、上筒井付近に145軒集まっていたが、あとは散在、とある。集まっているほうがお客にも本屋にも便利だろうと、「少壮連が寄り合って発案」。13軒が賛成して、古本屋街を建設。「数日前からそろそろ引き越しをやっている」(「神戸新聞」1928[昭和3]年3月20日、原文は旧字旧かな)。
 戦前の元町駅前に古本屋さんが集まっていたのは資料で知っていたが、13軒もあったとは驚き。
 
 

(平野)

2020年2月20日木曜日

絵本並べて


2.15 GFクッスーが夏葉社島田潤一郎さんインタビュー記事を送ってくれる。創業して10年、彼の仕事と人となりが益々受け入れられ、評価されている。

元町事務局から電話で原稿の間違い指摘。見直しているつもりでも毎回何かある。

 留守番ヂヂにリアルタイム家族写真が送られてくる。皆元気。夕刻、家人帰神。息子の近況を聴き、あ然、ポカーン。

2.16  娘からヂヂにプレゼントあり。バレンタインチョコ、「二子玉川本屋博」(1.312.1)のパンフとオフィシャル・ジン『本屋の本当』(出店40店舗紹介とプレトークイベント収録)。



 

 ヂヂバカチャンリン孫写真、絵本並べて家遊び。

 


 幼子は絵本並べて春を待つ (よ)

 

 2.17 ニュースで京都三月書房5月閉店を知る。閉店予告をしておられたが、まだまだ先のことと思っていた。残念。とは言っても、私は年に数えるほどしか行っていない。ジュンク堂京都店は今月末閉店。

 今尾恵介『ふしぎ地名巡り』(ちくま文庫)、地名保存は難しい。神は細部に宿る。土地の特質、先祖の営みがしみこんでいる。なるべく残すべき、残したいけど、残らない。

 著者の行動力と本紹介の情熱に驚く。それも私生活どん底で始めたこと。花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出文庫)

2.18 ギャラリー島田DM発送作業。3月も注目の展覧会あり。

 SNSで書店員さんの推奨本があり、その出版社のサイトを見たら神戸のフランス文学者の新刊も発見。小遣いと相談。
(平野)

ヨソサマのイベント

 『暮らしの中の永田耕衣』 ギャラリー島田 2.223.4


 

2020年2月16日日曜日

あきない世傳(八)


2.13 家人は横浜。留守番ヂヂは晩ご飯仕込みしてから大阪、あべのハルカスに昇る。私は天王寺と阿倍野がもう一つわかっていないが、両方とも「区」があるから、その境ということなんだろう、とぼんやり納得。
 
「カラヴァッジョ展」(あべのハルカス美術館、2.16まで)、鑑賞者男女半々くらい、カップルやグループより単独者が多い。平日ということもあるのだろうか。聖書の悲劇場面を題材に、官能美あり、残虐な血のシーンも。

神戸に戻って本屋さん。髙田郁『あきない世傳 金と銀(八)瀑布篇』(角川春樹事務所ハルキ文庫)発売日。主人公・幸に次々試練。五鈴屋は小紋柄でヒットを飛ばすが、江戸の町は麻疹に襲われ、景気は冷える。店の後継者問題、新製品開発、それにライバルの暗躍、お上から上納金割り当てのお達し、さらに幸の元夫再登場で緊張が走る。後継に目途が立ち、主従と職人たちの努力によって新しい図案・型紙が完成。ところが、その型紙が……、この先を8月まで待てというのは、残酷な!
 
 

もう1冊、柳広司『太平洋食堂』(小学館)、紀州新宮の医者・大石誠之助(でっちあげ大逆事件で死刑)の生涯。
 
 

2.14 『みすず 読書アンケート特集』に取り上げられている本、私には歯が立たないものが多い。でもね、見落としていた本、知らなかった本、著者、出版社を教えてもらえる。自費出版もあり、東日本大震災の記憶を英文で綴っている人(陸前高田の種苗店店主、中国語、スペイン語も)の紹介もある。多種多様な出版物。世に出す人たちがいて、必要とする研究者、読者が存在する。
(平野)

2020年2月13日木曜日

瓦礫から本を生む


2.10 職場担当営業さんから電話、「えらいことになってまして」。私への苦情か、とドキッ。身に覚えがない、という絶対的自信はない。いたって気が小さい。新しい設備機器の話だった。

 仙台荒蝦夷社主から著書献本いただく、感謝。
 土方正志『瓦礫から本を生む』(河出文庫)。2016年刊『震災編集者』(河出書房新社)に加筆。
 カバー写真は河北新報・渡辺龍記者撮影。東日本大震災直後に誕生した兄妹、笑顔で幼稚園に向かうところ。同紙「未来へ 笑顔の5歳」(2016.5.5)に掲載された。渡辺記者は震災報道に奔走するも、169月、病のため逝去された由。
 解説は柳美里、「淋しさの水溜り」。
 注文していた『月刊みすず 読書アンケート特集』届く。




2.11 本屋さん、花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出文庫)毛利甚八『白土三平伝 カムイ伝の真実』(小学館文庫)。前者は単行本のとき買うかどうか迷った覚えがある。白土の父は前衛芸術家、大正時代神戸文化史に名前が出てくる。
 

 
(平野)

2020年2月9日日曜日

箱入孫


 2.5 先日の新聞に「海外移住と文化の交流センター」でブラジル人の子どもたちにポルトガル語を教えている日系2世の記事があり、今日は石川達三「蒼氓」紹介記事。「神戸とブラジル移民」を調べている私のために載せてくれている、と勝手に思ったりして。

 2.7 仏教学者末木文美士『日本思想史』(岩波新書)。古代から現代まで、キーワードは「王権」と「神仏」。そう言われて、天皇退位やら象徴天皇はまさに「王権」と「神仏」の問題。

「箱入孫」写真届く。くまモンとサンタからもらったクマ持っておこもり。
 
 

 2.8 書店員は現場で先輩からお客さんから鍛えられ学ぶ。経験を積んで考え工夫を加え、後輩に伝える。矢部潤子『本を売る技術』(本の雑誌社)

 大阪堂島「本屋人生のおやつです!!」、ご無沙汰で敷居が高く、ということはなく店主と歓談。若杉慧『半眼抄』(木耳社、1972年)、戦前神戸の小学校で教師。教え子に島尾敏雄がいた。
 
 

 江戸堀「カロ ブックショップ アンド カフェ」のイシサカゴロウ〈箱庭日誌展〉(2.15まで、日・月休み)。図録購入。空犬さんブログで紹介の『ミューレン 22 岩波少年文庫特集』(同編集部)を見つける。カロ店主、ゴロウさん含め大阪呑兵衛たちと新年会。
 
 

(平野)

2020年2月6日木曜日

南米移住専用最終船


 2.2 登尾明彦『原初の、学校 夜間定時制、湊川高校の九十年』(みずのわ出版)読み終える。定時制高校は統廃合で少なくなっている。登尾は、「定時制高校こそ学校であり、定時制にはまさしく学校の、原初の姿を留めている」と書く。働きながら学ぶ生徒が主体だが、年配者や障害者生徒、中学時代不登校だった生徒もいる。ゴンタの子もいる。湊川の場合は不当な差別のなかで育ってきた子たちが多数いる。生徒たちは教師の態度・姿勢を見つめている。教師は生徒の心情を受け止め応える力量を持たなければならない。生徒の就学・通学支援、仕事支援、落第生教室、校外生教室、解放教育、朝鮮語授業など、少数者に依拠した教育を実践してきた。
〈……湊川高校は、国際化、高齢化、情報化という二十一世紀の日本を見越して、そのいずれの課題にも正面から挑み、とりわけ被差別層、底辺の教育要求に答えていく運動の先陣を切ってきた。(後略)〉
 兵庫県の教育史記録には湊川高校の記述がないらしい。

「朝日新聞」2.2「朝日歌壇」より。
〈百年の書店を廃(や)めるときは来(き)ぬ本の衰へ吾の衰へ  長野県 沓掛喜久男〉
 本屋店頭の様子を歌って入選常連。廃業を決意されたのか。

 2.4 図書館で「ブラジル移民」調べ。本や資料に「最後の移民船」が複数出てくる。「最後の移民専用船」あり、「最後の南米航路船による移民」あり、「船では最後の移民」も。
 写真は「南米移住専用最終船さんとす丸」。1965(昭和40)年629日神戸港出港。上、「神戸新聞」同年6.30。下、陳舜臣『神戸というまち』(至誠堂新書、1965年)より。




周防大島みずのわ出版・一徳社主、所用のため来神。お土産みかん(社主栽培)をいただき、久方ぶりの乾杯。出版から農業事情まで話を聴く。歓談中神戸周辺の著者たちから連絡入り、多忙。出版予定が何冊もあり、翌日は広島で取材の由。

(平野)

2020年2月2日日曜日

ゴッホ展


2.1 1月は行ってしまった。2月は逃げる、らしい。ボーッと生きているとますます速く過ぎていく。

 近所の診療所、大病はないが持病はある。看護師さんが血圧測ってくれて、体重も。私にしては通常の体重だが、看護師さん、「ご飯、食べてますー?」。主治医診察、前回のカルテに「妻に叱られる」と記載あり。「そんなん書きますか?」と聞くと、「こういうことが大事やねん」と下線まで引く。

 午後、兵庫県立美術館「ゴッホ展 ハーグ、そしてパリ。ゴッホへの道」。カップル、家族連れ多く、長い列。私見だが、美術展では珍しく男性が多い。老若男女児童が並んで鑑賞、さすがゴッホ。私は、農民画家・ゴッホ、を知る。


 本屋さん、PR誌いただく。矢部潤子『本を売る技術』(本の雑誌社)、末木文美士『日本思想史』、マルクス・ガブリエル『新実存主義』(岩波新書)、『懐かしいお菓子』(新潮社とんぼの本)





「朝日新聞」夕刊2.1コラム「素粒子」より。以前〈1.17〉の短歌を紹介したところ、作者が小説家と同姓同名の方。小説家からコラムに「ご縁が嬉しい」と連絡があったそう。小説家は俳句をなさる。
〈幾千の人らと共に逝きしとも死ぬは一人残るも一人 川上弘美〉(「朝日」1.17夕刊)
(平野)