2020年10月30日金曜日

博士と狂人

  10.29 映画「博士と狂人」、シネ・リーブル神戸。オックスフォード英語大辞典(OED)誕生の話。大英帝国の威信を賭けた国家的プロジェクト、出版まで70年かかった。その基礎を築いた中心人物はオックスフォード大学の学者ではない。独学で言語学と多言語を習得したスコットランド出身のマレー、アメリカ南北戦争のトラウマに苦しむ殺人犯・マイナー。二人の名優が演じる。映画化も構想から20年費やしたそうだ。

辞書作りの苦闘、獄中からボランティアが協力する。

知識教養から生まれる友情、家族、学問世界の壁。

マイナーは狂気から殺人。被害者家族への贖罪、そこから育まれる愛情に苦しみ自ら断罪する。医療刑務所での治療が絡む。

マレーは、マイナーを編集協力者として名前を記すことと彼の釈放を願い奔走。政治家や王室まで巻き込む。

二人だけの会話場面、単語を次々繰り出す。きっと知的で深いものなのだろうけど、凡人には不明。ことばは大切、深い、世界が広がる、困難から救われる、未来につながる。

  映画終了後、元町事務局に原稿渡す。

1003〉で『APIED 36 澁澤龍彦』(アピエ)、ここは大きな新刊書店でも扱わないミニコミやZINEが豊富。

 うみねこ堂書林、小谷野敦『谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中央公論新社、2006年)。飲み会どうしよう、など話す。

 花森書林、織田作之助『六白金星・可能性の文学他十一篇』(岩波文庫、2009年)

 新刊本屋さんで雑誌と岩波新書新刊。

 久々の本屋ハシゴ。


 

ヨソサマのイベント 

 吉岡充 水彩画集 原画展 (姓の「吉」は「土」「口」)

 1113日(金)~26日(木)13001900 

 花森書林 火曜・水曜定休

 元町周辺を中心に展示。海文堂書店もあり。

(平野)週末、孫に会いに行ってきます。

2020年10月29日木曜日

藝術のパトロン

 10.24 家人と映画、「みをつくし料理帖」。原作小説、過去のテレビドラマも見ているが、やっぱり泣かされる。映画館は全席販売開始で、結構な入り。大人気のアニメには及ばぬでしょうが、年配者はこちら。

10.25 ブログ「四谷書房日録」に神保町ブックフリマ開催のニュースあり。詳細はこちらを。

https://jinbochobf.wordpress.com/

 

 10.27 ギャラリー島田DM作業、毎年11末から12恒例の「石井一男展」と「須飼秀和展」などの案内。1年は早い。島田誠社長の本も近々刊行。詳細は改めてお知らせ。

 10.28 勤務のマンション居住者さんから卒寿記念出版本をいただく。囲碁と俳句。私はチンプンカンプン。親しく声をかけてくださり、ありがたい。

  読みかけで放置していた本を〈積ん読・置い読〉から引っ張り出す。

 矢代幸雄 『藝術のパトロン 松方幸次郎、原三溪、大原二代、福島コレクション』

中公文庫 2019年 

初版は1958年新潮社より。

矢代(18901975年)は美術史家、20代で東京美術学校の美術史教授。ヨーロッパ留学中に松方幸次郎の「コレクション」蒐集に協力し、戦後の返還にも尽力した。

パトロンたちは「芸術の愛護者」。蒐集は金持ちの道楽ではない。皆さん人格高潔。「将来の芸術を益々見事に開花させ、人類の平和と歓びを増進さす」など功績は大きい。原は日本古美術、大原は倉敷大原美術館、福島は20世紀初めのフランス美術。大原以外は散逸してしまった。



(平野)

 

2020年10月25日日曜日

英国流 旅の作法

 10.22 六甲アイランド「神戸ゆかりの美術館」、特別展〈無言館 遺された絵画からのメッセージ〉。長野県上田市〈無言館〉は戦没画学生の作品を収集・展示している私設の美術館。普段同館で陳列されていない約130点を展示。杉原基司「神戸東亜ロード」他、神戸、芦屋出身の人たちの絵も里帰りしている。



 会場入口に窪島誠一郎館主のことばが掲げられている。

〈あなたを知らない//遠い見知らぬ異国(くに)で死んだ画学生よ/私はあなたを知らない/知っているのはあなたが遺(のこ)したたった一枚絵だけ (後略)〉

https://www.city.kobe.lg.jp/a45010/kanko/bunka/bunkashisetsu/yukarimuseum/tenrankai/index.html

 10.23 江戸の知人に東下り予定を伝える。蔦屋家電ブックコンシェルジュさんはイベントを教えてくれる。〈11.1〉は本の日だそうで、同店は1日限定「作家の本屋」開催。5人の作家さんがおすすめの本を販売。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000579.000009848.html

NRくららさんからは歓迎のおことば。うきうき。

本は、

 中島俊郎 『英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで』 

講談社学術文庫 1180円+税

 著者は英文学の先生、甲南大学名誉教授。イギリス旅の文化の移り変わりとイギリス人の美意識、感性をたどる。

貴族の若者たちは「教養の確立」のため芸術の国・イタリアを目指した。古典教養=ギリシア・ローマ文化の源流を求めた「グランド・ツアー」である。他国の人との出会いが「知」のネットワークになる。ナポレオン登場でヨーロッパ大陸が戦場になると、旅はスコットランド・ウェールズの湖水地方に向かう。絵画に描かれた理想郷「アルカディア」を見出す「ピクチャレスク・ツアー」。ここからイギリスの庭園文化が生まれ、ヨーロッパに広がる。馬車が発達すると、「徒歩旅行」が重要視される。歩くこと=身体性と、彷徨、思索、孤独、空想など精神性が一体となる。現代につながるウォーキング、エコ・ツーリズム、グリーン・ツーリズムの基盤。

本書初版は2007年『イギリス的風景 教養の旅から感性の旅へ』(NTT出版)。文庫化に際し、著者から海文堂書店のポップカードで案内をいただいた。



(平野)

2020年10月20日火曜日

酒呑童子の誕生

 10.17 家人実家親戚と墓参予定が、雨強く墓園前で車中から手を合わせて、そそくさランチ。揃いも揃った不孝者。

 古書店主から通信、文芸書初版本が大量に入荷した由。

詩人さんからは古書専門紙に寄稿した神戸詩史のコピーが届く。文学史には残っていない詩人たちの足跡を掘り起こす作業を続けておられる。

 10.18 「朝日歌壇」より。

〈読書には理想的なる空間とつくづく思う秋の独房 (ひたちなか市)十亀弘史〉

 同じく「朝日俳壇」より。

〈本棚に青春の日々敬老日 (埼玉県皆野町)宮城和歌夫〉

 読書は、

 髙橋昌明 『定本 酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化』 岩波現代文庫 

1400円+税



 大江山の酒呑童子説話は源頼光とその四天王が鬼を退治する話。絵巻や謡曲、御伽草紙などで伝えられる。

 聞きかじりのヂヂイは、盗賊とか朝廷に反逆する輩をねじ伏せた話を脚色したものと考える。渡来人(西洋人)という説もあるそう。でもね、本書によって、説話の背景は複雑でわずかな史実だけで成り立つものではない、と知る。

そもそも「鬼」とは何か、「酒呑童子」は酒呑みの暴れん坊なのか、なぜ大将は源頼光なのか、なぜ四天王のうち特に渡辺綱が活躍するのか。

 南北朝の時代に「酒呑童子」の原型ができ、多くの作品が作られたが、現在残る作品は少ない。『大江山絵詞』(逸翁美術館蔵)と『酒呑童子絵巻』(サントリー美術館蔵)が双璧、ということだ。両書の成立時期は1世紀から半世紀の隔たりがあるそうで、内容でも相違点がある。両書を比較しながら「酒呑童子」成立を分析する。

 都の安寧を祈る儀式、陰陽、疫病流行、中国の伝説に聖徳太子伝説、それに反乱者排除。舞台である「大江山」も移動する。

〈大江山の酒呑童子の原像は、都に猛威をふるう疫神、とくに前近代日本の疫病中、最大の脅威であった疱瘡を流行らせる鬼神だった。大江山(老ノ坂、山陰道が山城国に入らんとする地点)は、古代以来疫病の都への侵入をさえぎる四堺祭(都城の道切りの祭の一種)の祭場の一つであり、元来、疫病の跳梁しやすい場所である。〉

 著者は神戸大学名誉教授、日本中世史の先生。

(平野)

2020年10月15日木曜日

六甲のふもと

  10.14 SNS上で出版営業〈お〉氏が入籍を発表。お相手の写真も披露していて、親子かと思うほど若い。10歳違いだそうだが、ほんまか? これは犯罪ちゃうか? やっかみ半分でお祝い申し上げる。友人たちから祝辞が寄せられていて、ひとつひとつ返信している。お人柄やね。おめでとう、よかった、よかった。

10.15 神戸在住の現役編集者が忙しい中、私家本発行。〈1003〉で販売中。

 山形梢編 『六甲のふもと 百年の詩人 八木重吉の詩 神戸篇』 ほらあな堂 

500円+税



 八木重吉(18981927年)は東京生まれ。学生時代、内村鑑三に傾倒し受洗。23歳から26歳まで兵庫県御影師範学校の英語教師を勤め、詩作。結婚し、子ども2人を得た。結核のため夭逝。生前、御影時代の詩をまとめた『秋の瞳』を出版。

〈 わが兒と/すなを もり/砂を くづし/濱に あそぶ/つかれたれど/かなし けれど/うれひなき はつあきのひるさがり 〉

この「濱」は今はもうない御影の浜だろう。

 編者は、神戸の人に重吉の詩にふれてもらう機会になれば、と「神戸らしさ」が感じられる詩を選んだ。

(平野) 

 重吉の詩は詩人仲間と夫人(再婚した文学者も尽力)によって後世に残った。このことはもっと調べてみたい。

 1003〉、12月栄町通に移転の由。

2020年10月13日火曜日

ぼくは幽霊作家です

  10.12 仕事は会社貸与の携帯電話で勤務時間の管理をする。打刻時間にアラームが鳴るようセットしているのに、鳴らない。

 なんで~か?(堺すすむ師匠) 

 それはね(同前)。主任さんに問合わせたら調べてくださった。アラームは「祝日除外」で設定していて、本来なら「10.12」は体育の日の祝日だが、東京オリンピックの祝日移動が反映されていない、ということらしい。

そうなんや~(同前)。

 今回も出版社からいただいた本。

 キム・ヨンス著 橋本智保(ちほ)訳 『ぼくは幽霊作家です』 新泉社 

2200円+税



 韓国現代作家の作品集。9作品すべて一人称で語る。ロンドンで暮らす韓国人姉妹と日本人留学生、ヒマラヤを目指す作家、人探しを依頼され朝鮮に渡るアメリカ人探偵、朝鮮戦争に参加した中国志願兵、弟の見合いに付き添う兄、古典文学を題材にしたもの、戦争後の政治的混乱など、時代は異なるが、朝鮮半島、アジアの歴史が底流にある。

 表題の作品はない。著者のことば、

〈この本の中で「私」はあまりに多くの嘘を並べすぎた。「私」は天国に行くのは無理かもしれない。この本のタイトルどおり、「私」は幽霊作家になってしまった。(後略)〉

訳者、

……幽霊作家とはゴーストライター(代筆作家)という意味で、影となって小説という虚構の時空間を動かす存在だ。キム・ヨンスはどの短編でも、いろいろな叙述スタイルを試みている。例えば、書簡体、告白体、植民地時代のインテリの口調を匂わせるもの、古典小説のパロディ、いかにも翻訳調で語るものなどがある。これらは近代以来、韓国の小説が模索し続けてきたものでもあるのだが、キム・ヨンスは自身の作品の中でそれらを独創的に試みたのではないかと思われる。(中略)……キム・ヨンスは本作において、歴史の主人公になれなかった人たちのことを、彼らがどう生きたのかについて話しているのだ。(後略)〉

(平野)

2020年10月11日日曜日

一〇に纏わる話

  10.10 台風は東に進み、近畿からは遠のいた。太平洋沿岸部や伊豆諸島は進路に当たる。台風はこれからまだまだやって来ます。ご注意を。

 大阪堂島の女子の古本屋〈本は人生のおやつです!!〉、通称〈本おや〉、10周年記念冊子、『一〇に纏わる話』届く。上村松園絵葉書でメッセージもくださった。浪花の街にもしばらくおじゃまできていない。年内には行きたい。

 『一〇に纏わる話』 編集 坂上友紀 

装画 足立真人 装幀 高木大吾

本は人生のおやつです!! 発行 1100円 税込


 

 店主と深いおつきあいの本屋さんたちがそれぞれの「一〇」に纏わる話を寄稿。

 初版限定200部。同店Webショップでも買えます。送料要。

https://honoya.tumblr.com/

 

■ 東京人 11月号 特集 没後10年井上ひさしの創造世界(ユートピア)

都市出版 864円+税 




 井上ひさし没後10年。言うて詮無いことながら、井上ひさし健在ならば現代を題材にしてどんな物語を紡ぐだろう。

(平野)10に纏わった。

ヨソサマのイベント

 きたむらさとし展 1010日(土)~21日(水)

ギャラリー島田 

http://gallery-shimada.com/?p=6977

 


 きたむらさとし『スマイルショップ』(岩波書店)出版に合わせて。きたむらは朝日新聞be紙面(土曜日)「悩みのるつぼ」で挿絵担当。

2020年10月8日木曜日

ののの

  10.6 10.4「朝日歌壇」に常連入選者を心配する短歌が投稿された。自らの闘病を詠っておられた僧侶のこと。選者が彼が5月に逝去していたことを知らせている。本日の「朝日川柳」にそのことを詠んだ句あり。新聞投稿欄では見ず知らず人たちが濃やかにつながる。

 「みなと元町タウンニュース」338号着。拙稿「海という名の本屋が消えた 83」含め、こちらでお読みいただけます。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/2020/10/01/townnews338.pdf


 

 10.7 ヂヂイは読んだことのない作家を読むのにちょいと勇気がいる。書店員さんたちが推薦の言葉を寄せている。私たちが住む世界と私たちの不確かさ、不安定、途方のない奥行き、寂しさ、孤独、が描かれている、と。

■ 太田靖久『ののの』 書肆汽水域 1800円+税



「ののの」「かぜのまち」「ろんど」の3篇収録。

「ののの」とは何だろう。通学路の空き地に大量の白い本が遺棄されている。頂上にいつも鳥がいる。目がひらがなの「の」の形をした巨大な鳥。ケンジはその鳥を両眼から「のの」と名付ける。本の山は「のののやま」、それが「ののやま」になった。

クラス委員の野々山が学校をさぼっているケンジを心配して家に来た。二人は「ののやま」に登る。ケンジは父に教えられた言葉を言う。「何かを想像する時には、その想像のなかで自分が想像していないことが起こりうることを想像しておけ」。野々山は「想像しろ。体内に眠る言葉にお前の想像を追いつかせろ」、兄の死んだ場面、父の死んだ場面を想像しろ、と。野々山が突然巨大な破裂音を発し、舌を出して天を仰いで声を絞り出した。兄の死んだ後、「ののやま」で「のの」の甲高い鳴き声を思い出す。

 ケンジは不幸な事故で兄を、災害時に父を亡くした。母は実家に戻り、一人で生活。中学3年の夏休み最終日、同じクラスの・奥津さんと海を見に行く。どしゃ降りの雨、人気のホットケーキ屋に入る。奥津さんが、肉親が亡くなったこと、母親はどうしているのか、誰かに相談しているのか、と尋ねる。「気詰まりな沈黙が流れた」。

〈「もうすぐ学校も終わりだね。時間が経てば全部がちゃんと懐かしくなるのかな」とナイフを動かし、「ねえケンジくん、思い出になる出来事ってどういうものか知っている?」とホットケーキの欠片を口に放り込んだ。/「全然知らない」と感情を悟られないようにできるだけ冷たく言い放った。/「思い出になるのは、自分で思い出したことがあることだけだよ」(後略)〉

 ケンジは中学を卒業すると家の中華料理屋を再開した。いつの間にかもう一人のケンジが出現している。

「かぜまち」は東日本大震災・原発事故後の町を、「ろんど」は廃墟を舞台に。

(平野)

2020年10月4日日曜日

われもまた天に

  10.3 午前中、臨時で仕事。

 午後、久しぶりの落語会、「桂米團治独演会」(兵庫県民会館)。コロナ対策で席は前後左右開けて座る。物品販売もなし。しばらくというか、今後何年もこの状態が普通になるのでしょう。演目は、「京の茶漬」「七段目」「算段の平兵衛」。

 三宮ブックス村田社長と電話。「毎日新聞」の〈元町・宇野千代記事〉を読んでくださっていた。話題はもっぱら訃報。いつも話が長くなるけど、うちの電話器はオンボロで、受話器の電池が15分くらいしか持たない。近々の訪問を約束。

 夜、息子は江戸に戻って行った。2週続けて賑やかだったが、またヂヂババ漫才の日常になる。

 10.4 娘・息子とも我が家に置いたままの不要品を処分。家を出てもう8年余りだけど、まだまだ荷物あり。ヂヂババはゴミ出し用意。

 本、

古井由吉 『われもまた天に』 新潮社 2000円+税



 今年2月逝去。最後の作品集、表題作他4篇。未完の「遺稿」も。

 生まれる前、人の心は天にあり、生まれた後、天は人の心の内に在る、という中国の教え。何度も読み返し、考え、迷っては元に引き返す。

書かれるのは、入院、手術、車椅子、夜の病室、退院、杖を頼りに散歩、通院、また入院、老いの日々。思い出すことは戦争、それに若き日の命の危機。ひとり登山で土砂崩れに遭い、山肌を横に這い逃れた。故人となった肉親のことを思う。あのとき自分が行方不明になっていたら、と。

〈あの子は前からふっと何処かへ行ってしまいそうなところがあった、息もせずに生まれて来た、戦災を免れた夏には年寄りみたいな子になっていた、病院で夜苦痛をこらえた末に妙に静かになった、とたどり返すうちに、とうに亡くなった縁者と、まだ生きていて寝床の中から物を思う私と、死者と生者とが入れ代わったかのようなのに驚いた。〉「われもまた天に」

 何度目かの入院、外は大型台風襲来。大きな被害を知る。住んではいけない危ない場所が言い伝えられても、いつか忘れられてしまった。古井の父祖の出身地は西美濃、古来大水に苦しんだ。江戸時代、治水工事の地元の民と普請を負わされた薩摩藩の武士が犠牲になった。そんなことを知ったのは成長してから。

〈自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった災厄を我身内に負うことではないのか。〉「遺稿」

 

(平野)

 

2020年10月1日木曜日

中秋の名月

 9.29 午前中、図書館。「みなと元町タウンニュース」原稿、かつて諏訪山にあった動物園のことを調べる。1928(昭和3)年、神戸区諏訪山動物園開園。37(昭和12)年、神戸市に移管。太平洋戦争中の44(昭和19)年に軍の命令で猛獣を殺処分した後も、開園していた。戦後の463月末に閉園。詳しいことは「タウンニュース」にて。今日事務局に渡したのが10月末分だから、11月末予定になる。

 9.30 仕事午後のマンションに移動時、大きな屋敷の門前に壺が置かれ、ススキが挿してある。毎年ご近所にススキを分けておられるのでしょう、「明日は中秋の名月です」とある。風流、さすが須磨。都を逃れた光源氏もこの地から眺めた。

 うちの光源氏(息子)が久々に帰って来る。頭髪金色にしているらしいから「ひかる」といえなくもない。

 10.1 キム・ヨンス著 橋本智保訳 『ぼくは幽霊作家です』 新泉社

装幀・北田雄一郎 装画・イシサカゴロウ



ヤスキさんからお贈りいただく。早速お礼の電話。装幀・装画、評判が良いそう。

先日、ゴロウさん装幀家デビューと紹介したが、私の早とちり、間違い。ゴロウさん、本の装画デビュー、です。

 

(平野)