2020年1月28日火曜日

岸辺のない海


 1.25 午前中は図書館、「神戸移民収容所」のこと。1928(昭和3)年開館。「収容所」の名称は捕虜、難民を思わせる(のちに「教養所」に改められた)。ブラジル移民、当初は石川達三『蒼氓』を紹介するつもりが、なかなかそこまで行かない。そもそも、なぜ移民? なんで神戸? 疑問次々。
 郷原宏『岸辺のない海 石原吉郎ノート』(未來社)。石原は8年におよぶシベリア抑留の凄絶な体験を詩に書いた。誰を責めるわけではない、国を恨むこともしない。運命すべて受け入れ、耐え、絶望しても自分を見つめた。海とは日本と大陸を隔てる日本海。その海は収容所の遥か彼方、遠い。

……その海はついに到るべき陸をもたない海、つまり「岸辺のない海」だったことになる。〉

 新米本屋時代、石原の詩集を買って大事に抱えて帰る人を見た。私は石原のことを知らなかったが、その人がいて、石原と出会えた。
 
 
 
 1.28 「ブラジル移民」第1回原稿を元町商店街事務局に届ける。すぐに第2回に取りかかる。

(平野)

2020年1月23日木曜日

日が暮れてから道は始まる


1.18 午前、元町原稿「ブラジル移民」。午後買い物、元町駅前『BIG ISSUE375号、本屋さん、『ザ・うらたじゅん』(第三書館)近藤ようこ『夢十夜』(岩波現代文庫)
 



ブログで紹介したイベント。さんちか古書即売会は場内1周するのみ。花森書林『イマヨシハヂメ原画展 古本屋にいこう』、海文堂の「元町古書波止場」レイアウト図や古書市フライヤー原画あり。目録(原画集)購入。東京池袋「古書ますく堂」店主に遭遇。まちづくり会館「吉岡充水彩画展」、震災から25年間の神戸、阪神、播磨の風景。ここでも海文堂の絵(2007年)。
 
 

1.19 お年玉年賀はがきで切手当選3枚。自己記録更新、身の丈にあった運。五さん、高さん、田さん、ありがとう。

1.21 図書館に本返却して、ギャラリー島田DM発送作業、2月「永田耕衣」、楽しみ。改めて開催中の「木下晋展」を見る。制作中にアクシデントで破れて補修した部分、確かにあった。

本は「ユリイカ菊池信義」終了して、都築響一の「独居老人」。
 それから足立巻一『日が暮れてから道は始まる』(編集工房ノア、1987年)。新聞連載コラム、詩評論などをまとめた遺稿集。書名は、鉄道会社のPR誌で街道を取材していた時に思い浮かんだことば。勤めていた新聞社を去り、下請け仕事で食いつないでいた。

……長い歴史を考えながら古い道を歩いていると、自分の半生が不意に省みられ、そんな感懐になったものらしい。いままでの生き方はすべて準備であり、あるいは徒労であり、これからが本番なのだと追いつめられていたのにちがいなかった。それが実感となったのだ。〉
 
 

(平野)

2020年1月18日土曜日

つつんで、ひらいて


1.1415 通夜、告別式、北摂は神戸より寒い。親戚集合、半数は7年ぶりくらい。前もお葬式だった。臨済宗の式は初めて。

 1.16 映画「つつんで、ひらいて」(広瀬奈々子 監督・撮影・編集)、アートビレッジセンター。映画の日で特別料金1100円(私はふだんもシニア料金だが)、おまけのファイルいただく。パンフレット購入。

〈紙の本。その装幀という仕事を撮りたいという。言葉を、目から手へ、そして心にとどける仕事。思い掛けない若い監督の、本への思いに絆された。撮られる事で、新たに意識下できることもあるはず。どうあれ、紙の本の魅力を伝えるためにと引き受けた。――菊地信義〉

監督の父も装幀家だったそう。


 

「イシサカゴロウ 箱庭日誌展」案内届く。
1.21~2.15 カロ ブックショップ アンド カフェ にて
 
 
 
(平野)

2020年1月14日火曜日

永田耕衣


1.12 『永田耕衣』(春陽堂俳句文庫、1992年)持って新快速。姫路城を眺めながら、姫路文学館「永田耕衣展」。
最初に勤めたコーべブックスの出版部が耕衣本を出していて、名前だけは知っていた。句はちんぷんかんぷん。詩人や文学者がエッセイで耕衣を紹介していたので、すごい人なんだろう、というくらいの認識。耕衣死後、週刊誌で城山三郎『部長の大晩年』(1998年「週刊朝日」連載、同年単行本、2001年朝日文庫)を読んだ。経済小説の城山と孤高の俳人がすぐに結びつかなかったが、耕衣のことをくわしく知った。句集(文庫本)を買った、わからないのに。耕衣本はよく見かけるが、私には高価。昨年、神保町で『耕衣百句』(吉岡実編、コーべブックス、1976年)を見つけた。私でも買える値段だった。

永田耕衣(190097年)。1995年阪神淡路大震災で被災、自宅(須磨区行幸町)は全壊した。耕衣は救出され、避難所、門弟宅を経て、寝屋川市の特別養護老人ホームに入居。家から掘り出された資料5000点は姫路文学館に寄贈された。棟方志功から贈られた赤不動の版画が最後に見つかった。別の志功版画には水漏れの跡が生々しく残る。展覧会チラシ・図録の写真はホーム前の竹林にて。

〈少年や六十年後の春の如し〉

図録『耕衣自伝』(沖積舎、2015年)を購入。

帰途、城の堀に白い鳥の群れがいた。鷺でないことはわかる。
 
 

1.13 「古書片岡」店主が『詩集 神戸市街図』(ジュンク堂書店、1986年)を届けてくださる。感謝。

夜、親戚より訃報。
(平野)

2020年1月11日土曜日

原初の、学校 


1.9 周防大島みずのわ出版・一徳社主より、新刊案内メール。登尾明彦『原初の、学校――夜間定時制、湊川高校の九十年』。登尾は同校の元教諭(19692004年勤務)。私は海文堂勤務時代にお世話になったし、著書を販売させてもらった。個人通信「パンの木」を毎月送ってくださる。本書はその連載がもとになっている。
https://mizunowa.hatenablog.com/

 


1.10 古書片岡から通信届く。在庫紹介で欲しい本がある。営業時間に電話しようとそわそわしている。通信連載コラムが出版予定だそう。これも予約しなくては。電話、つながらず。
 1.11 登尾さんから著書をいただく。ありがたいこと。注文分は友人に進呈する。
 午後「ギャラリー島田」で「25年目の1.17」と「木下晋」。スタッフさんに15時から木下さんトーク会があると教えられる。スケジュールをまったく見ていない。鑑賞だけで失礼する。 
 本屋さんで購入、辻山良雄『本屋、はじめました 増補版』今尾恵介『ふしぎ地名巡り』都築響一『独居老人スタイル』(以上ちくま文庫)。辻山本は筑摩書房WEBに特設ページあり。
http://www.chikumashobo.co.jp/special/honya_title/

『ユリイカ増刊 装幀者・菊地信義』(青土社)、映画も楽しみ
 



 
 
(平野)
 
ヨソサマのイベント

 10回 おかんアートとハンドメイド展
112日・13日 神戸市兵庫区和田岬「淡路屋」に隣接する4ヵ所
https://www.facebook.com/events/653248465079760/

 さんちか古書大即売会
116日~21日 さんちかホール

 


 イマヨシハヂメ原画展 古本屋にいこう  
古本屋店主が古書店を巡り描く作品たち
117日~27日  花森書林
https://hanamorishorin.com/

 

 吉岡充水彩画展  震災25年・2冊の画集から
116日~21日 こうべまちづくり会館 
(画家名、「吉」は「土」「口」)

 


 イシサカゴロウ drawing book[箱庭日誌]展
121日~215日  Calo Bookshop & Cafe
ゴロウちゃんの個展
http://www.calobookshop.com/

2020年1月9日木曜日

ユリイカ 和田誠


 1.4 氏神さんに初詣して、図書館。年末に孫が借りた絵本を返却。午後は家人と街歩き。
 1.5 元町連載原稿に取り掛かる。鯉川筋から諏訪山、「海外移住と文化の交流センター」から始める。
 午後、本初買い、『ユリイカ 1月号 特集 和田誠』(青土社)
「和田誠の描くもろもろは、わたしたちの日々の日常から決して逸脱していません。にもかかわらずそれらは日常の次元にありながら微笑みの宇宙とでも呼びたいどこかに、軽々といつまでも存在し続けているのです。」(谷川俊太郎「和田誠の線」)
 
 

元町駅前で『BIG ISSUE374号。買い物して花森書林、新年挨拶。
『桃源』読了、先日「悪漢小説」ではないと紹介したが、言葉足らず。主人公刑事2名が「悪漢」ではないということ。
 1.7 図書館でブラジル移民。
 1.8 仕事、初出。暴風のなか、休憩時間に須磨寺参詣。
(平野)

 ヨソサマのイベント

 生誕120年記念 俳人永田耕衣展 
 111日~45日 姫路文学館北館


 映画 「つつんで、ひらいて」


 神戸では111日~24日、神戸アートビレッジセンターにて

https://www.magichour.co.jp/tsutsunde/

2020年1月3日金曜日

男はつらいよ 桃源


1.1 孫一家は昼の新幹線で帰る。ちびっこ台風去って、老夫婦は日常生活に戻る。孫との時間はクリスマスプレゼント&お年玉、それに冥土の土産。

1.2 家人はデパート初売りに。留守番ヂヂは昼飯作って、本読んで待つ。

『星と龍』読了。正成は「正義」を選ぶ。それが賢い選択かどうかではない。未完とわかっていても、最後まで読みたかった。私は葉室を『銀漢の賦』で知った。葉室さんありがとう。

1.3 映画「男はつらいよ お帰り寅さん」、昭和の正月。オープニングの主題歌(桑田佳祐歌唱)2番でなぜかウルウル。
読二(2冊目)は黒川博行『桃源』(集英社)、黒川おなじみ「相棒」物だが、悪漢小説ではなく「正統派警察捜査小説」。
 
 

(平野)
 
ヨソサマのイベント

ギャラリー島田 18日(水)~22日(水)


 25年目の1.17 

 

 木下晋展 いのちを刻む

 

2020年1月1日水曜日

謹賀新年 星と龍


新年おめでとうございます

二〇二〇年 令和二年 庚子 元旦




年末から孫(2歳)と過ごしています。これまで我が家にはいなかった賑やかなキャラクターです。遊ぶのも体力が必要、寝正月から脱却できるか。

 読初は葉室麟『星と龍』(朝日新聞出版)。2017年「週刊朝日」連載中に葉室逝去。未完のまま遺作となった。大義とか忠義だけではない、正成の生き方を描く。解説・安部龍太郎。
 
 

寝床で読み始めて寝落ちは毎度のこと。夜が明けて、また読み始める。
 本年もよろしくお願い申し上げます。
 
 ありがたや孫と遊んで初笑い  (よ)

(平野)