2019年11月9日土曜日

安水稔和 地名抄


 『安水稔和詩集 地名抄』 2018

 『安水稔和詩集 辿る 続地名抄』 2019

編集工房ノア 各2600円+税
 
 

 神戸の詩人さん、24冊目・25冊目の詩集。これまで地名をタイトルにした詩集が9冊あり、地名を題にした詩は500篇を越える。

「左右(そう)」「上下」「前後」という地名の詩がある、場所を想像することもできない。「驫木(とどろき)」「艫作(へなし)」、読めない。
 
「本詩集にあらわれる地は、出かけたところ、滞在したところ、あるいは通り過ぎただけのところはもちろんのこと、出かけたことも通り過ぎたこともない未知の地もある。そのいずれもが今確かにまざまざと思いえがける地である。まこと〈そこにある〉なつかしい地である。」
 詩人は神戸定住者であり、旅する人である。土地の風土・歴史を辿り、人と触れ合い、歌う。江戸時代末の国学者で東北各地を旅した菅江真澄の研究者でもある。

 神戸の詩が3篇。「三宮」「須磨」「長田」、神戸が受けた災厄(象徴として3地名)を歌う。1938阪神大水害、1945神戸大空襲、1995阪神淡路大震災。1931年須磨区生まれの詩人はすべて経験している。
「長田」
瓦礫の道を/人々が歩く。/西へ東へ/足どり重く。//暗闇の道を/人々が歩く。/西へ東へ/押し黙って。//風が熱い/焼けただれた街を歩く。/昨日から今日へ/明日から今日へ。

「仁豊野 にぶの *」 
敗戦を知った次の日。なにを思ったか父はわたしを連れて父の生地へやってきた。青い稲の波のなかに照りつける真夏の太陽の下。墓の前で父はうつむいて考えごとをしていた。/次の汽車を待つあいだ駅のすぐそばの寺の涼しい門前に座ってちtいはわたしにいろいろと話しかけたらしい。どんな話だったのかたずねてみるのだが父は笑って答えない。

 美術家・古巻和芳が安水の「地名」詩を取り上げ、「記憶とともに場に積層した言葉が物語る『もう一つの風景』」を作品にした(2019.10月、ギャラリー島田)。

(平野)
 地図帳の索引で探す。索引にない場所が多数。図書館近いのに、ズボラしてネット検索してしまう。

 11.27日 祝日やら休暇やら、しばらく仕事なし。だからといって読書は進むわけはないし、家が片付くこともない、いつものグータラ。でもね言い訳、約束の原稿は書いたし、ギャラリー島田DM手伝いに行った。本も買った、詩集2冊、分厚いフランス文学者評伝、コミック2冊。『ビッグイシュー』はこの1ヵ月販売員さんとタイミングが合わず、3冊まとめて。

2019年10月29日火曜日

うた合わせ百人一首


 北村薫 『北村薫のうた合わせ百人一首』 新潮文庫 
550円+税
 藤原龍一郎、穂村弘とのトーク〈歌人と語る「うた合わせ」〉収録。解説 三浦しをん。単行本は2016年新潮社より。



 古典の百人一首解説ではなく、現代歌人(近代も何人か)の短歌を北村独自の眼と感覚で二種ずつ選んで組み合わせる。同じ歌人の歌や関連する別の歌人の歌も紹介する。総数550首収録。
 ご存知のとおり、北村はミステリーを中心に発表している作家。膨大な読書量。単なる短歌愛好家の鑑賞ではない。プロの歌人とは異なる解釈をし、謎解きをする。

 三浦は、短詩系作家と散文作家のセンスの違いを書いている。短詩系の作家は「膨大な脳内データベース」を持ち、作家同士で批評しあう。それに対し、小説家は小説の内容を全文記憶していないし、作家同士論評しあう習慣があまりない。
 北村は自身で短歌を作らないものの、「膨大な脳内データベース」を持ち、小説家の立場で鑑賞・批評する。

「崩壊の調べ」のテーマで選んだ、
「ひとひらの雲が塔からはなれゆき世界がばらば らになり始む  香川ヒサ」
 北村解釈は、

……一字空けの歌は世にいくつもあるが、これは忘れ難い。当たり前に書かれていれば誰もが《ばらばらになり始む》と普通に読み、そのまま通り過ぎるだろう。だが下の句の七・七の切れ目に置かれた空白で、言葉が裂かれる。切られてみれば、その調べが必然のものとなり、この世も裂かれる。〉

 プロの歌人が驚いたのは、「バラバ」はキリストの磔刑に関連する、という指摘。

 花鳥風月を歌い、恋を歌う。僧侶が恋を詠んだり、男女が異性の立場になっていたり、想像力で物語を作っていた。古典の解釈は長年積み重ねられて、現代の解釈になった。現代短歌もさまざまな解釈が重ねられていく。作品はいったん発表されると、著者・作者の手から離れる。鑑賞者はさまざまな解釈をすることができる。でもね、文学や歴史の教養、それに想像力があれば解釈は広がり、楽しくなる。誤読があってもいい。
(平野)
 10.25 休みもらってお江戸。二子玉川で娘・孫と待ち合わせして、2歳誕生日お祝いランチ。蔦屋家電のキタダさんを訪ねる。ずっと雨、多摩川河川敷は泥が残る。ヂヂは皆と別行動、本郷のNR出版会。くららさん、やすきさんの仕事をじゃまする。ハルピン珍道中のお話を伺う。

10.26 3年ぶりの神保町ブックフェスティバル、晴れて何より。すずらん通りで娘・孫と待ち合わせ、父さんは本販売当番。京都キムラさんと遭遇。孫と児童書コーナー。息子も加わりランチ。孫はスポーツショップが流している音楽に合わせてダンスしたり、どんぐり拾い集めたり。

10.27 神保町フェス徘徊。すずらん通りブースで吉さんに挨拶。古書店でコーべブックス出版句集、井伏鱒二、新刊バーゲンで池内紀。昼食はさくら通りでクラフトビールとカレー。東京堂書店店頭名物コーラス「神保町は本の街」を聴きながら、同店6階の「造本装幀コンクール」展示鑑賞。ヂヂ、満喫。

2019年10月24日木曜日

体温


 『多田尋子小説集 体温』 書肆汽水域 1800円+税
 
 

 私、エエ歳なのにこの作家のことは知らず。歴代最多、芥川賞候補に6度なった人。
 多田尋子(ただ ひろこ)、1932年長崎県生まれ。85年、短篇小説「凪」を発表してデビュー。86年、「白い部屋」で芥川賞候補。その後、「単身者たち」「裔の子」「白蛇の家」「体温」「毀れた絵具箱」でも候補に。単行本は全て品切れ状態。 
 本書では、「体温」(「群像」916月号)、「秘密」(「群像」9210月号)、「単身者たち」(8811月号)を掲載。孤独なアラフォー女性たちが主人公。挟み込みの冊子に「あなたの温もり、あなたとの距離」とある。
 
「体温」の率子は親のすすめで結婚。娘が生まれるが、親密な結婚生活とはいえないまま、夫が事故死。実家で暮らして、両親を見送る。娘との生活の糧は遺された不動産。夫の命日にお参りに来た元同僚が協力してくれる。率子も頼る。思い合ってしまう、触れ合ってしまう。プロポーズされ、いい妻ではなかった、と告白する。

 
「秘密」の素子は高校受験の際に両親から養子であることを明かされる。兄も養子だった。家族を大事に思うが、自分は結婚もしないし、子どもが生まれるような行為もしない、と決める。大学進学で家を出て、そのまま就職。年下の同僚に思いを寄せられ、二人の秘密のメモでデートはするが、結婚は拒む。後輩女性との仲を取り持ち、二人の結婚後も子どもの祝い事など交際は続く。10年ほど経って、彼はかつての秘密のメモを復活させる。

 
「単身者たち」の計子は母娘依存状態、就職(さ)せず結婚(さ)せず。母は元教師、独身のまま計子を生み、実家で暮らした。母が亡くなり一人きり。買い物ついでに、古い商店街の古道具屋を覗く。そこの店員募集の貼り紙を見て応募。店主に、ただ坐っているだけで、と言われるが掃除したり料理したり。店主は商売より絵に熱心。店主と話し、コーヒーを飲み、食事をすることが楽しい。事務仕事や客の相手にも慣れる。店主の離婚した妻が現れる。

 寂しい男たち、哀しい女たちがいる。幸せそうな人でも孤独を抱えているだろう。「温もり」は性愛だけではない。そばに誰かがいてくれること。その「距離」をどこまで縮めていいのか、どれくらい離れるべきか。あと一歩の戸惑い。

 多田が「あとがき」に書く。
〈こんな歳になって、こんなおもしろいことに出会えるなんて、想像したこともなかった。〉
 版元社主は作品復刊のために多田に長文の手紙を書いた。多田は「まさかあ!」と本気にしなかった。また手紙。社主は書店員でもある。多田の著作を古書店で買い集め、販売した。その実績を報告して、再度復刊を願った。書肆汽水域はこちらを。
(平野)
 私も、こんな歳になって、未知の作家に出会える。社主のおかげ。自分から絶対読まない。「須賀敦子」もそうだった。
 10.20 朝日歌壇・朝日俳壇より。
〈本棚に麟三宏泰淳と並べてたどる戦後のこころ (調布市 豊宜光)〉
〈夜長かなああこの本のこのページ (東京都 河野公世)〉
 同じく「朝日」文化・文芸欄に村上春樹イタリアのグリンザーネ文学賞受賞記念講演の記事あり。
〈小説家は「洞窟の語り手の末裔」〉
 作家の矜持。「1960年代のカウンターカルチャーを経ていたので、大学を出て企業に勤める気はありませんでした」の言葉に納得得心。
 10.22 テレビは新天皇即位の儀式ばっかり。ご本人が、国民のため、世界平和、象徴天皇制、憲法、とおっしゃっている。静かに祝おう。
 図書館で「島崎藤村と神戸」調べ。
 10.24 「みなと元町タウンニュース」編集長から電話。原稿督促かと思ったら、海文堂の東日本大震災フェアのことだった。彼はコラムで海文堂のことを書いてくれている。どんなフリーペーパーかと思われる方は、こちらを。

2019年10月19日土曜日

月の満ち欠け


 佐藤正午 『月の満ち欠け』 岩波文庫的 850円+税 
特別寄稿 伊坂幸太郎

 2017年直木賞(第157回)受賞作を文庫サイズにするのだけれど、「岩波文庫」ではなく、単行本扱い。体裁は「岩波文庫」的。巻末に「岩波文庫」の目録(一部)のページはあるが、岩波茂雄の「読者子に寄す」はない。著者も岩波も面白がっている。今後「岩波文庫的」叢書ができるのだろうか。佐藤の『花のようなひと』は「岩波現代文庫」に入っている。


 


 佐藤は、1955年長崎県佐世保市生まれ。83年『永遠の12』ですばる文学賞受賞。

 本作品は、幻想恋愛小説、と言えばいいのか。輪廻転生。事故死した女性「瑠璃」の記憶を持つ少女が現れては事故死し、また別の少女が出現する。かつての恋人に会おうとする。名前はみな「瑠璃」「るり」。母親が妊娠中夢のお告げで「瑠璃」と名付けるつもりだったが、家族に反対されて別名になった場合もある。
 それぞれの「瑠璃」は名付けの元になった格言、「瑠璃も玻璃も照らせば光る」を口にする。自分の恋人、妻、子ども、と打ち明けられても、受け入れられる人、そうでない人、冷静になろうとする人、さまざま。30年余りの時を越えて関係者の人生が交わる。未来にあるのは、幸か不幸か。
 最初の「瑠璃」が生存中、恋人に語る。

「神様がね、この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。ひとつは樹木のように、死んで種子を残す、自分は死んでも、子孫を残す道。もうひとつは、月のように、死んでも何回も生まれ変わる道。そういう伝説がある。死の起源をめぐる有名な伝説。知らない?」

(平野)
 10.14 梅田蔦屋書店のイベント「読書の学校 ブックトークフェスティバル2019」。書店主・書店員9名が本の魅力を語る。海文堂の同僚アカヘルさんとキタダさんが企画に参加、久々に会えた。「あなたのための本」「はじめての一冊」「完璧な本」の3部制、全部聴講。難問にゲストの皆さんは真摯に応えてくださった。トータル6時間(入れ替え時間含むと8時間)。空き時間はなるべく梅田近辺を歩いたが、座りっぱなしはきつい。
 10.19 図書館で「みなと元町タウンニュース」原稿の参考図書を読む。島崎藤村が女性問題から逃避するため2度神戸に来ている。明治26年、大正2年。懲りない人である。後年それぞれを小説にしている。
 地震、台風、集中豪雨。日本列島に住む私たちは繰り返し自然災害に襲われる宿命。それでもこの場所で生き延びて行かねばならない。

2019年10月12日土曜日

タイトル読本


 高橋輝次編著 『タイトル読本』 左右社 2000円+税
 
 

 高橋は古本エッセイの他、「誤植」「書斎」など本に関するテーマでアンソロジーを出版している。本書はタイトル(書名、題名、表題、標題、ネーミング。絵、映画・音楽・演劇もあり)について。書き下ろしを含め51篇。作家、詩人、翻訳家、学者、芸術家、それに黒子の編集者も登場。

〈作品を世に送り出す最後にして最大の難所がタイトルです。これまで何十時間と時間を使い、原稿用紙何百枚に書いてきたことを数文字が代表する。作品の顔となり、運命を左右するので、決定には作者と関係者それぞれの思惑が渦巻きます。〉

 新聞広告で、本屋の棚で、クチコミで、受け手をつかむ。内容を知らせたり、期待させたり、疑問や驚きを持たせたり。長からず、短からず、見て聞いてインパクトがあって、覚えやすいもの。創作者たちの苦労、工夫がある。苦悩する人がいて、楽しむ人がいる。タイトルが決まればいくらでも書けるという人がいれば、原稿は完成しているのにタイトルが決まらないということもある。いくつもアイデアが出るのにどれもダメなことがあり、他人との会話でパッと決まる場合もある。キーワード検索で探してもらえることも重要。
 
 編集経験のある評論家、原稿を書く暇がないと表向きの言い訳をするが、題名が思い浮かばないのだ。書名が決まれば書けるという単純なことではないが、まず書名。考え得る良い書名は既に誰かが使っている。特に読書・本に関するものは「決定打はぜんぶ出ている」。それでも新しい本が次々出ている。『深夜の読書』(辻井喬)、『本を読む本』(M・アドラー)、『読書の方法』(外山滋比古)、『本の顔、本の声』(秋山駿)などなど。もうない、と思い込んでいた自分の頭を悔やむ。そこから得た教訓。

〈一つ、本の題名一つでも、他人の所産についてあれこれ論評するのはやさしいが、いざ自分の身の上のこととしてとりくむと、きわめてむずかしいものである。知恵などからきし出てこないものだということ。/一つ、それにしても(自分以外の)人間の知恵は無限であるということ。〉(「本の題名」森村稔)
 
 私も最近「本」の文字に惹かれて選んでいる。
(平野)
 10.10 通常木曜日は仕事なしだが、いつもと別の場所に緊急出勤。作業は同じ掃除だけれど、建物の規模が違うので段取りに戸惑う。年配の方や幼稚園児が話しかけてくれて和む。上司も心配して電話あり。
 10.11 その日どこかで読んだと思う文章が気になって、夜になって何で読んだのか探すことがある。読んでいる本、PR誌、新聞を繰る。今日は新聞小説の一文だった。中村文則『カード師』(朝日新聞朝刊)。
 和田誠さん、残念だけど。ありがとう。ご冥福を。
 10.12 大型台風19号襲来。関東地方に向かっているが、こちらも強風。近所のスーパーだけ行って引きこもる。皆さん、まだまだご注意を。

2019年10月8日火曜日

神戸モダンの女


 大西明子 『神戸モダンの女』 編集工房ノア 2000円+税
 
 

 著者は1947年岡山県生まれ、西宮市在住。高校教師退職後、大阪文学校入学。
 主人公・多津子はお姑さんがモデル。大正・昭和の時代、家族を支え、生きていく道を探し続けた。生まれ育ったのは現在の兵庫区東山市場近く。
 多津子の父はハイカラ趣味で、朝食はパンと紅茶、洋服は誂えもの、小学生の多津子をセーラー服で通学させる。休日には多津子を連れて、元町、メリケン波止場、大丸、ユーハイム……。港の荷役会社勤務だが、選挙運動に入れあげたり、株に手を出して失敗したり。あげく一人で上海に行ってしまう。母は「子どものまま大人になったような」人、子育ては祖父任せ。父の外遊中にめまいと吐き気で寝込み、精神的に不安定。気晴らしとリハビリ兼ねて花隈の置屋を手伝う。
 多津子はミッションスクール・松楓高等女学校に通う。英語、英国式家事、ダンスを学び、友人宅で神戸高商学生・石川と出会う。就職、ダンサー女性と知り合い、自分もダンサーになる。石川と結婚、時代は戦争に向かう。夫の父、兄が相次いで亡くなり、夫と共に群馬の旅館を経営(遺産の一部)。阪神大水害、神戸大空襲に遭わなかったが、長男病死。夫は自由人で、ハルビンに行ってしまう。
 戦後、一家は神戸に戻るが、父と夫の事業失敗。家族の生活はますます多津子にのしかかってくる。ダンサー先輩を頼って靴工場勤務。働く女性、在日の人たちの不遇を知る。叔父夫婦や幼なじみが助けてくれる。子どもたちのことを思い、家でできる洋裁の内職を始める。基礎は女学校で学んだし、英国式刺繍もできる。多津子の創意・工夫が評価され、ついに洋服仕立てで独立する。
 女学校の同窓会参加、自分のためにスーツを仕立てた。

〈二十年以上の空白を越えて参加する同窓会は、心が弾むというよりは少しだけ気が重い、戦争を挟んでそれぞれの生活は激変したに違いない。多津子も女学生の頃とは大きくかけ離れた所に立っている。けれども生きて行く根本的な考え方が松楓で培われたという気持ちは今も変わらない。〉

 長女が多津子と同じ女学校を卒業して就職。多津子が常々口にした「暮らしは低くても志は常に高く持って生きて行くのよ」に感謝して巣立つ。

 本書の「モダン」は流行や洋風趣味だけではない。時代に負けずに生きて行くこと。それに人のつながり。

(平野)
 余計な註。「松楓」は神戸松蔭女子学院。クラブ活動の洋画研究会講師・大磯は小磯良平。小磯は「斉唱」(1941年)で松蔭の女学生たちを描いている。群馬の旅館に静養に来るロシア文学者・外村百葉は中村白葉。人名・社名・店名は実名あり仮名あり。「暮らしは低くても志は常に高く」は18世紀末から19世紀のイギリス詩人・ワーズワースの詩の一節。
 本書も書名に惹かれて。

10.8 ギャラリー島田DM作業。夕刻から詩人さんたちのトークがあるのだけれど、本日は作業のみで失礼、家事がある。

2019年10月6日日曜日

本と幸せ


 北村薫 『本と幸せ』 新潮社 2400円+税
 
 

 北村薫、1949年埼玉県生まれ。89年『空飛ぶ馬』(創元推理文庫)でデビュー。2009年『鷺と雪』で直木賞受賞。16年日本ミステリー文学大賞受賞。19年作家デビュー30周年。ミステリーだけではなく恋愛小説もある。詩歌評論、アンソロジー編集など幅広く活躍。
 本書は、読書の喜び、楽しさを綴るエッセイ。有栖川有栖との交遊・やりとりがおかしい。幼少時からの読書生活、懐かしいテレビドラマや漫画、落語、歌舞伎、音楽の話も。高校生時代に創作したショートショートを収録。付録に北村朗読CD、短篇小説2篇。
 
 201612月、北村は激しいめまいと吐き気に襲われ入院。退院後もしばらく安静。

〈わたしにとっての《大切な作業》とは、《本を読むこと》だ。こんな状態になれば、嫌でもそれに打ち込めるはずだ。買ったまま書棚にある『魔の山』や『荒涼館』を読破する好機ではないか。ところが、あれほど好きな、大長篇のページをめくる気力がない。そこで、ふと思った。/――四コマ漫画ならどうか?〉

 漫画でリハビリ。

私はミステリーをほとんど読まないのに、本書を紹介するのは気が引ける。書名に惹かれて、ということでご勘弁を願う。
 書名は「《ほんと、幸せ》を祈る声」でもあるそうだ。でもね、まだ仕掛けがある。本書の扉文言、「短歌合わせる村遠き星」。謎解きは「あとがき」で。

(平野)
 10.5 午前中図書館。午後「桂米團治独演会」(県民会館)。本日オープン「神戸阪急」、鳥瞰図絵師・青山さんトークショーがあったみたい。知らずに失礼。紀伊國屋書店で雑誌。