2024年4月4日木曜日

疾走! 日本尖端文學撰集

 3.31 「朝日俳壇」より。

〈父みゆき母は春樹の春こたつ (東京都練馬区)吉竹純〉

〈本当のバイちゃとなりぬ雛あられ (さいたま市)齋藤紀子〉

「朝日歌壇」より。

〈書斎の戸開ければいつも「どうした?」と振り向く夫よ椅子に声あり (富津市)松村君代〉

〈終活の最中(さなか)にひょいと顔出せりお世話になった赤尾の豆単 (加東市)藤原明〉

 買い物中、友人夫妻に会う。同級生の消息を教えてくれるが、この年齢になると明るい話題はない。

4.1 職場近くの電柱にカラスが巣作り。電力会社が撤去。

4.2 BIG ISSUE476、特集〈「ネガティブ・ケイパビリティ」を生きる〉。精神科医・作家の帚木蓬生、「答えを性急に求めることなく、不可解の中で、おや不思議だなと思う気持ちをもちながら、宙ぶらりんの状態に耐えていくと、その中から共感が生まれてくる」。

 


4.3 電柱の巣、カラス再設置した模様。生存のため必死。再度撤去したが、どうなるか。

雨と共に孫たち帰る。賑やかだった我が家は元の静けさに。

 

 『疾走! 日本尖端文學撰集 新感覚派+新興藝術派+α』 

小山力也編 ちくま文庫 880円+税



 大正末から昭和初め、近代都市化が進み、新技術、思想、文化が出現する。新しい芸術運動も次々登場。鉄道、自動車、スピード、コンクリート、映画、写真……文学者も刺激を受け、新感覚派、新興藝術派など新しい小説が生れた。

 藤澤桓夫、横光利一、堀辰雄、今東光、川端康成、稲垣足穂、龍膽寺雄ら現在もその名を知られる作家。朝原六朗(童謡「てるてる坊主」)、山下三郎(山下汽船の御曹司)、高橋邦太郎(翻訳家、日仏文化研究)、池谷信三郎(劇作家)、石野重道(足穂と共に佐藤春夫門下)、福井一(藤澤と「辻馬車」編集、生没年不明)ら文学史上ほぼ無名の作家たち。皆明治末頃の生まれの若者。

 神戸ゆかりの作家は、今、山下、足穂、石野、片岡鐵平。

 今東光「軍艦」は川崎造船所が舞台。巨大艦船建造=先端技術と現場労働者、モダニズムとプロレタリアが裏表。

(平野)