2024年4月11日木曜日

乱歩殺人事件

4.9 午前中臨時仕事。午後はみずのわ一徳と神戸文学館で「詩人さん」関連資料写真撮影。学芸員さんの故郷は広島県の島だそうで、一徳(周防大島)と瀬戸内話で盛り上がる。都会の下町ヂヂにはわからん話。その後、新聞社に紙面掲載の許諾をお願い。一徳は朝から大阪、西宮の関係機関にお願い行脚。お疲れさま。

4.10 休憩時間の読書、プロレタリア小説を終えて、普段読まないホラー小説に。暴力残酷シーンはダメなのだけれど、ページを繰ってしまう。帯に〈読まないほうがいい。虜になってしまうから。〉とある。

 

 芦辺拓・江戸川乱歩 『乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび』 

角川書店 1900円+税



 1933(昭和8)年、「新青年」11月号から江戸川乱歩は「悪霊」を連載開始。

同誌編輯部は前年11月号に、来年4月号から連載、と予告。その後も毎号力いっぱい新作を喜ぶ。人気作家・乱歩は当時休筆中だったから読者も待ちわびる。ところが、約束の号から始まらず、「間に合わず」「次号を待たれよ」「来月誌上で多分吉報」などなどお詫びと訂正が続いた。予告開始から1年、ようやく連載が始まったと思ったら3ヵ月で休載。スランプか? 体調不良か? 特別の事情があったのか?

 乱歩のストーリーは、密室殺人から始まる。土蔵に美しい未亡人の死体、謎めいた傷が複数あり、不可解な絵のカードが残された。現場近くにいた極端な障害のある浮浪者、未亡人宅を訪れた人物、未亡人参加の心霊学会メンバーなど、登場人物は皆怪しい。殺人予告、新たな犠牲者、さらに殺人事件。

 ミステリー作家・芦辺は、乱歩が投げかけた謎をひとつひとつ解いて、未完の「悪霊」を完成させた。それは乱歩中絶の謎も解くことでもある。

 写真は「朝日」書評(2024.3.23)切り抜き。横尾忠則(未完)、編集者(書き継ぎ)共作。

(平野)