2020年9月29日火曜日

本のリストの本

  9.27 コミックを大事そうに置いてある。読むのがもったいないわけではないのだけれど。

ヤマザキマリ、とり・みき 『プリニウス』 新潮社 700円+税

今回で皇帝ネロ終幕。


 

9.28 書肆汽水域・北田さんから新刊書をいただく。書店勤めをしながら、出版社を営み、年1冊のペースで文芸書を刊行されている。

 太田靖久『ののの』 書肆汽水域 1800円+

http://kisuiiki.com/

著者は2010年に「ののの」で新潮新人賞受賞。本書は表題作他3篇収録、著者初の単行本。発売日107日はデビュー10周年記念日だそう。

私は初めて読む作家。ついていけるか不安。

読んでいるのは、

『本のリストの本』 創元社 2300円+税



「本のリスト」をテーマにしたエッセイ集。

どういうこと? 

たとえば、「大学図書館で見つけた個人文庫のリスト」「名曲喫茶に積まれていた本のリスト」「画家が読んだ本のリスト」「マンガの中の本棚に描かれた本のリスト」「漱石が英語を学び、教えた教科書のリスト」「ランボーがアフリカで母親にせがんだ本のリスト」など、著者たちが見つけた「リスト」、思いついた「リスト」など、さまざまな「リスト」について書く。 

現実に存在する「リスト」、刊行されなかった本の「リスト」、著者たちが書物の中から探し出した「リスト」もあれば、こんなテーマで「リスト」を作ってみたら、というのもある。個人の読書ノートや本屋さんの独自フェアも「リスト」だ。

 著者は、南陀楼綾繁(編集者、ライター、ブックイベント企画)、書物蔵(古本コレクター)、鈴木潤(児童書専門店店長)、林哲夫(画家、文筆家、装幀も多数)、正木香子(書体をテーマにする文筆家)。

〈本のリストを読む面白さは、とくに目的を持たずに本屋や図書館の棚を逍遥しているときの気分に似ています。好きな作家の隣にまったく未知の作家の本があったり、ある分野の棚に意外な本が混じっていたり(今回の新型コロナウイルス禍によって、しばらく棚に立ち入れなくなったとき、この逍遥が与えてくれていたものの大きさを改めて感じたものです)。〉(南陀楼綾繁)

 9.29 午前中、図書館。「みなと元町タウンニュース」原稿、かつて諏訪山にあった市立動物園のことを調べる。

 1928(昭和3)年、神戸区諏訪山動物園開園。37(昭和12)年、神戸市に移管。太平洋戦争中の44(昭和19)年に軍の命令で猛獣を殺処分した後も開園していた。戦後の463月末に閉園。詳しいことは「タウンニュース」にて。今日事務局に渡したのが10月末分だから、11月末予定になる。

(平野)ブログの仕様が今回から変わったみたい。字体は元通りにできるようになったけど、色はまだ。

2020年9月26日土曜日

性からよむ江戸時代

9.20 「朝日俳壇」から2句。  
〈ひぐらしや母の籠つてゐし書斎 (横浜市)進藤剛至〉 
〈紙魚喰うてゐたりし本を大切に (長崎市)濱口星火〉  

 9.21 当ブログのお世話係は画家イシサカゴロウ。「ほんまに」の編集と表紙の絵でおなじみ。まもなく装幀家デビューする。
  新泉社韓国文学セレクション、キム・ヨンス『ぼくは幽霊作家です』(橋本智保訳)、10月8日発売予定。
  https://www.shinsensha.com/books/3670/
 9.25 娘と孫帰る。「なんで? なんで?」攻撃を受けて、1週間たっぷり遊んでもらった。 
  通勤・休憩用の本、
  沢山美果子『性からよむ江戸時代――生活の現場から』(岩波新書) 
 近世・近代女性史研究者。江戸時代の文字史料個人の日常生活の性の営みを読み、性生活、性知識、性意識を探る。妻との交合を詳しく記録した小林一茶、米沢藩領の山村で起きた夫婦間のもめごと、一関藩の婦人科医師の診療記録、出雲の町人の日記から見る性売買など。 〈江戸後期は、性の営みやいのちの問題を考えるとき、大きな画期をなす時代だった。この時代に、人々のいのちを守る基盤となる「家」が民衆のなかにも成立する。家を子孫に引き継ぐために、子どもと子どもを産む女のいのちを守ろうとする意識が高まり、医者や産婆が各地域に登場する。(後略)〉 一方、民衆は家を維持するために少子化の策も取った。出生間隔をあけたり、堕胎、間引き、捨て子もあった。幕府・藩は人口増加をめざし、妊娠・出産を把握し、堕胎などを監視する仕組みを作った。
(平野)

2020年9月21日月曜日

がちゃがちゃどんどん

 9.19 孫と散歩して、買い物に付き合ってもらう。帰ってきて絵本読みするも、孫は疲れて途中でダウン。小沢正・佐々木マキ『きつねのホーシュ』(サンリード、1979年)。
 9.20 孫と絵本2冊、元永定正『がちゃがちゃ どんどん』(福音館書店、1990年)とヤノーシュ『おばけリンゴ』(やがわ・すみこ やく、同、1969年)を読んでから、散歩がてら図書館。入口近くで表紙見せて陳列してある本からさーっと5冊選ぶ。あれにしようこれにしようか、というのがない。話が早い。帰ってきて続けて3冊読む。読むヂヂも聴く孫もちょっと息切れ。
 毎日新聞・きださんから電話。先月取材してくださった「みなと元町タウンニュース」の宇野千代と元町の記事、21日朝刊兵庫県版に掲載のお知らせ。ごめんどうかけて、申し訳ない。ありがとうございます。  9.21 毎日新聞記事、こちらで読めます。 https://news.yahoo.co.jp/articles/33bd9e7e181c0bd0d0cd46f3f23f4fd975e08c28
(平野)

2020年9月20日日曜日

つるかめつるかめ

 9.13 ブログの仕様が変わってしまって、字体も色も思うようにできない。以前は元のやり方に戻せたけど、今回できない。何もわからんでやっているヂヂ。慣れたらなんとかなるでしょう。  9.14 有給休暇。お彼岸前後はお天気心配なので、早めに墓参り。仕事は代わりの人が入ってくれていて、15日は私が彼の仕事に入る。  9.15 臨時仕事の帰り道、本屋業界の先輩と遭遇。今は須磨地域の世話役さんで走り回っておられる。 英文学大狸教授からお手紙、海文堂のポップカードで著書の文庫化を知らせてくださる。コロナで飲み会をできていないから、もうずいぶんごぶさた。うれしいお便り。  9.18 埼玉の岩さんが還暦記念の著書をお送りくださる。音楽、本、それに亡くなった母上のこと。長く介護をしてこられた。大切な思い出だから、大切に読まなければ。  娘と孫が久々の帰省。にぎやかな生活がしばらくできそう。寝る前に絵本一緒に読む。ピーター・スピア『サーカス!』(福音館書店、1993年)、木下順二・初山滋『うりこひめとあまんじゃく』(岩波書店、1984年)。  仕事休憩時間用本、 吉田篤弘『遠くの街に犬の吠える』(ちくま文庫) 〈××になった×××××の××××は「音×××者」だった。(後略)〉  小型録音機で「遠吠え」の音を採取している男性、その左目の瞳は水色だった。
 睡眠導入本、 安野光雅『私捨悟入』(朝日新聞出版) 文学や数学の話、それに普段の生活での疑問、謎。ひらめいたこと、思い出したことをつぶやくエッセイ。鶴亀算が出てきて、暗算を試みるも撃沈。
(平野)

2020年9月13日日曜日

あきない世傳 金と銀九

9.10 閉店後もニュースになる。「毎日新聞」京都・三月書房記事。 https://news.yahoo.co.jp/articles/42593a49aad00c14fa14ae321f2875fbeabbb1d1  

9.11 通勤電車内でボーッと立っていたら、離れた席でちくま文庫を読んでいる男性が目に入った。カバー裏表紙しか見えない。何の本かなあ、残念ながら私の位置からは書名不明。すごーく気になる。  
 北村薫『雪月花』。雑誌掲載時に読んでいたけど、まとめて読んでさらに著者の力量に感嘆する。私の読書や知識でなんのかんの言うのはおこがましい。  
 特に「ゆき」は読後膝を叩き、ほっぺたをしばいた。三島由紀夫は賞に恵まれなかったという話から、「潮騒」の文学賞受賞を祝う集まりの話に。先輩の大物作家たちが悪趣味なプレゼントや連歌でいじりまくる。最後に三島が返すことになるが、それを紹介する前の段階、北村の探索が凄まじい、これぞ作家魂。山田風太郎の短篇から雪の日の句、その作者は従来ある殿様といわれているのだが、ほんとうにそうか、調べるほどに謎が深まる。編集者たちも巻き込み謎に挑む。その間、古典資料、テレビドラマ、映画、落語が出てくる。その俳句に関係あるのかというと、ある。7月に雪の探索が始まったそう。あっち行きこっち行きで、真の作者を探し出し、なぜ殿様の作になったのかまで追究していく。けど、謎は謎。雪=ゆきの不思議、「ゆき」のつく作家のエッセイを紹介し、それも見事な幻想短篇小説のよう。三島の祝賀会に戻る。さて、三島はどう返したか。三島の名にも「ゆき」がある。  

9.12 目当ての本があって本屋さんに行って、思わぬ本に出会うことがある。喜びである。シリーズ本で、ああ出てたんや、というのもうれしい。 
  髙田郁『あきない世傳 金と銀(九)淵泉篇』(ハルキ文庫)
 早速開く。次々困難が主人公を襲うのは小説だから仕方ないが、今回は実の妹が浅はかにも敵側に行ってしまう。それでも主人公主従と仲間たちは今できる最大限の努力をする。深い絶望の淵の底から知恵を泉のように湧かせる。以前登場した儒学者が「菜根譚」のことばを説き、励ます。その学者が早世した兄・雅由の学友であるとわかる。超個人的に私は雅由が気に入っている。  
 ヤマザキマリ、とり・みき『プリニウスⅩ』(新潮社)も。
(平野)

2020年9月10日木曜日

雪月花


9.3 まちづくり会館「倉掛喜八郎」展。私が倉掛さんのことを知ったのは海文堂閉店が決定してからだった。何度もギャラリーで個展を開催し、PR誌の表紙を描いてくださっていた。著書で、阪神淡路大震災後の生活再建のため絵から離れたことも知った。

セ~ラ編集長、キダ記者、花森さんと倉掛さんの絵の変遷(帆船、神戸港の船、瀬戸内の島々の人と暮らし)に感嘆。

9.5 台風続けて九州来襲。近畿はさほど影響なし。買い物に出ると多少風あるものの、日光が強くシャツ下の皮膚を刺す。図書館行って、あとは家にこもる。「ひょうご部落解放」本紹介と「みなと元町タウンニュース」の原稿。

9.9 汗の量が減る、早朝布団を手繰り寄せる、確かに秋が近づいている。私の場合はもうひとつ、トイレの回数が増える。
 
 北村薫 『雪月花 謎解き私小説』 新潮社




私小説といえば、自らのドロドロ生活を題材にするものを思い浮かべる。私なりに本書を紹介すれば、読書エッセイ『ユーカリの木の蔭で』(本の雑誌社)、詩歌エッセイ『詩歌の待ち伏せ』(ちくま文庫)の小説版。語るのは、本への愛。春から北村本続けて出て、各社お互い帯にお知らせ。

〈私小説の方法は、情痴小説や家庭の葛藤を描くことにのみ適用されるものではなかろう。/人間の愛や情熱は、さまざまなものに向かう。文字を表現の手段とするものなら、その対象が本を指すのは、いたって自然だ。愛の小説には、そういう形もある。〉(北村薫「愛の小説」新潮社PR誌「波」2020.9月号所収)

(平野)

2020年9月3日木曜日

宇野千代と神戸元町2


 9.1 中央図書館。2階のふるさと本コーナーでよく閲覧している本がある。一見旅行ガイド本なので、「地理」の棚にある。でもね、ちゃうねん。
 若杉慧『須磨・明石・六甲の旅』(秋元書房、1961年)
 作家が自らの神戸生活を振り返りながら、歴史・文化・文学を語る。著名詩人の蔵書が寄付されたのだろう。作家の贈呈サインがある。
 もう1冊、別の作家が戦後まもなくの神戸風景をルポしている本も発見。私にとってはお宝ざくざく。
 
 

 午後、晩飯買い物ついでに本屋さん。家人は、どっちが「ついで」か、と毎回呆れる。最重要必需品を買い忘れていた。

 孫の写真でヂヂバカちゃんりん。先日送った雑貨を少しずつ開けて喜んでくれている。「プーさん出ました!」。
 
 

 9.2 「みなと元町タウンニュース」337号が届く。
拙稿「海という名の本屋が消えた(82)宇野千代「神戸元町風景」(その2)」
 
 

(平野)

2020年9月1日火曜日

待ち伏せに遭う前に


8.29 朝日新聞読書欄で、片岡喜彦『古本屋の四季』(皓星社)紹介。

……神戸市のバス停前で7畳の広さの店を営むこと10年、もうけは考えないという著者が、常連や思わぬ客との折々の交流をやわらかい筆致でつづった。……

 8.31 前夜の雨で、朝は幾分過ごしやすい、と感じたが、日中はやっぱり猛暑。

休憩時間、北村薫『詩歌の待ち伏せ』を開く。一首、一節の解釈に疑問・謎が広がる。それらを丁寧に探っていくと、突如答えやヒントが現れる。まるで「待ち伏せ」していたかのように。
私は北村が「待ち伏せ」に遭う前にヨダレくって居眠りしている。

■ ヨソサマのイベント

倉掛喜八郎「神戸のまち・港・渚」「タコとミカンの島」原画展
~震災前の神戸、瀬戸内を歩いて~
 93日(木)~8日(火) 10001730
(初日は1230から、最終日は1600まで)
 こうべまちづくり会館



(平野)