2020年9月10日木曜日

雪月花


9.3 まちづくり会館「倉掛喜八郎」展。私が倉掛さんのことを知ったのは海文堂閉店が決定してからだった。何度もギャラリーで個展を開催し、PR誌の表紙を描いてくださっていた。著書で、阪神淡路大震災後の生活再建のため絵から離れたことも知った。

セ~ラ編集長、キダ記者、花森さんと倉掛さんの絵の変遷(帆船、神戸港の船、瀬戸内の島々の人と暮らし)に感嘆。

9.5 台風続けて九州来襲。近畿はさほど影響なし。買い物に出ると多少風あるものの、日光が強くシャツ下の皮膚を刺す。図書館行って、あとは家にこもる。「ひょうご部落解放」本紹介と「みなと元町タウンニュース」の原稿。

9.9 汗の量が減る、早朝布団を手繰り寄せる、確かに秋が近づいている。私の場合はもうひとつ、トイレの回数が増える。
 
 北村薫 『雪月花 謎解き私小説』 新潮社




私小説といえば、自らのドロドロ生活を題材にするものを思い浮かべる。私なりに本書を紹介すれば、読書エッセイ『ユーカリの木の蔭で』(本の雑誌社)、詩歌エッセイ『詩歌の待ち伏せ』(ちくま文庫)の小説版。語るのは、本への愛。春から北村本続けて出て、各社お互い帯にお知らせ。

〈私小説の方法は、情痴小説や家庭の葛藤を描くことにのみ適用されるものではなかろう。/人間の愛や情熱は、さまざまなものに向かう。文字を表現の手段とするものなら、その対象が本を指すのは、いたって自然だ。愛の小説には、そういう形もある。〉(北村薫「愛の小説」新潮社PR誌「波」2020.9月号所収)

(平野)