2022年4月23日土曜日

物語のあるところ

4.21 孫電話。妹が本棚からどんどん本を引っ張り出して、姉は文句言いながらお片付け。妹は姉が読んでいる本を取りに行く。ハイハイ速い。ヂヂバカちゃんりん。

4.22 朝電車内で本を読んでいて、降車駅の手前で本を閉じたつもりなのに、ひと駅乗り過ごしていた。私鉄普通電車のひと駅は近いから歩いて戻った。

 

 吉田篤弘 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 ちくまプリマー新書 

760円+税



 作者が自分の書いた「月舟町」物語に入って登場人物たちと対話し、登場人物同士も対話する。こちらの頭が混乱する。ファンタジーの世界に浸りましょう。

 作者と登場人物はイコールなのか? 一人称で書くのか、三人称か? そもそもどうして小説を書くのか? 即興とは? でたらめとは? 意図やテーマは必要か? ハッピーエンドか絶望か? 小説であり小説論でもある。

 吉田が小説を書き始めて20年、一人きりで小説と向き合う。「ずっと一人きりだったのか?」と自問する。

……現実的には一人きりで書いているけれど、精神的には登場人物たちと一緒に物語を考えてきました。(略、話し、冗談を言い、笑ったり泣いたり、そんな手ごたえがある)だから、この本も彼らと一緒に話し合って書くべきだと思いました。彼らがいなかったら、二十年間、小説を書きつづけていたかどうか分かりません。そしてもちろん、読者の皆さんが読んでくださったことが常に大きな支えでした。〉

「意図とテーマ」問題で悩む作者に古本屋の親方が語る。作品は食堂の皿と同じ、皿の上に載せているものは作者にも読者にもわからない、そのわからないものを届けようとする、その試みが書いたり読んだりすること、作者はその悪戦苦闘ぶりを書けばよい、と。

……アンタが懸命に苦闘すれば、かならず読者が喜んでくれる。読んでくれるっていうのは、アンタの苦闘をたすけてくれるってことだ。(中略)アンタは書け。俺は読む。書く奴がいれば、きっと読む奴がいる。そう信じていい。〉

(平野)読者はデザイナーの片手間仕事なんて思っていませんよ。