2026年1月18日日曜日

今は何時ですか?

1.17 阪神淡路大震災から31年。あの時、我が家は少し壊れたけれど、家族・知人は無事だった。近隣で火災起こらず、職場もなんとか残った。元の生活に戻ることに専念できた。多くのご支援をいただいた。感謝申し上げる。大きな被害を受けた方々・地域の皆さんと比べ、自分を「被災者」と言うのは憚られた。「頑張ろう」「頑張ってください」とは言えなかった。

1.18 「朝日俳壇・歌壇」より。

〈死ぬまでに読む本並べ年の暮れ (東京都府中市)古川泰〉

〈魯迅(ルーシュン)と藤野先生ならび居て視線を受けつつ入る図書館 (仙台市)浅川照夫〉

 東北大学附属図書館に魯迅像と恩師・藤野厳九郎像が設置されている。

 

丸谷才一 『今は何時ですか?』 新潮社 2300円+税



丸谷才一(19252012年)、小説家、翻訳家。芥川賞、谷崎潤一郎賞、川端康成賞ほか受賞。文藝春秋から全集(全12巻)が刊行されている。昨年は生誕100年にあたり、本書はその記念出版。単行本未収録の短編作品4編。

 表題作は、作中で主人公が書く小説のタイトルでもある。ロシア人がロンドンの街で「今は何時ですか?」と訊こうとして、「時間とは何ですか?」と言ってしまったという笑い話から。時間と主人公の意識の流れと作中小説の物語とが進行する。主人公は時代小説で直木賞受賞の人気作家・浜谷百合子。恋人の進藤は百合子の作品を上手に批評してくれる。彼が突然行方不明(殺されたらしい)になる。12年後、週刊誌で20年前の殺人事件の犯人が警察に出頭した記事を読む。ゆきずりの犯行で、百合子は彼もその様にして殺されたのではないかと思う。彼の遺族は生存を信じて葬儀をしていないし、百合子も弔いをしていない。彼に詫び、自分にふさわしいのは小説を書くこと、と鎮魂の物語を執筆する。その作品がまるまる後半。

他の作品も幽霊話や過去の回想、作中小説が張り巡らされている。

(平野)