2014年1月27日月曜日

【海】史1981年新店舗


  【海】12

 1981年 新店舗オープン

「新店舗」建設について、当然現場で話は進んでいただろうが、『アラカルテ』で言及されるのは前述のとおり、818月第21号。

 816日をもって営業終了し、同じ場所に新店舗を建設。工事期間中、近隣2ヵ所に仮店舗を置いて営業継続。

 北店、元町商店街北側。海の本、人文・社会科学書、定期購読取り置き。

 南店、元の場所から東4軒目。雑誌、文庫、旅行書、実用書、新書、文学書。

 新店舗の予告。1階・2階計250坪。自然科学、人文・社会科学、児童書、ギャラリーの拡充、充実。

島田誠 「海文堂書店のオープンにあたって」(『月刊・神戸 読書アラカルテ』 198112月第22号)より

 工事は4ヵ月という短期間。1215日オープン。

――この地に店を構えて五十八年。戦災焼失にもめげず、専門書中心の書店として読者の皆様のご愛顧により、順次成長をしてまいりましたが、店舗の老朽化と、増大する書籍群、多様化する読者ニーズに対応するため一大決意をもって、今回の計画に取り組みました。検討期間を含めると三年間、日本設計事務所と具体的打ち合わせに入ったのが、ちょうど一年前でした。新しい海文堂書店がめざすものを図面に具現していただくため、何度も何度もプランを練り、限られた予算の範囲内で最高のものを作るため、熟慮に、熟慮を重ねました。……
  昨今の再販制度論争、スーパー業界の進出、他業界からの大規模店の参入、更に活字離れ現象と、私共の業界も、ここ数年揺れに揺れているといっても過言ではありません。いかにして生き延びるか、という命題に、簡明な答えはありません。私共としては、たとえ活字離れが進行しようが、安売り本が横行しようが、どんな時代であれ「本の世界」に価値観をもち、安らぎをえ、友を求める真の読書人は必ずいると信じ、そうした読者に愛される書店も必ず生き残ると信じます。
  私共は、時代に添い寝することなく、中堅書店として、五十八年間元町一筋に育てていただいた読者のための書店をめざしました。……――

 海事図書分野での絶対的強みとノーハウ蓄積のうえに、さらに「専門書店の集合としての総合書店」をめざす。
  店内を13のゾーンに区切り(分野別、間仕切りがあるわけではない)、各ゾーンに担当社員を配置し、商品管理、データ分析、読者の案内をする。各ゾーンに担当者用の机を持たせる。
  1階中央に「インフォメーションセンター」(中央カウンター)を置き、各種目録、出版情報誌を揃え、専任担当者が相談に応じる。
  各ゾーンのうち、3ゾーンについては「従来の書店の概念を拡張する試み」を行なう。
「海のゾーン」 海事図書という硬いイメージから抜け出し、海洋小説、釣り、ヨット、モーターボート、魚の本、加えてマリンイメージのインテリア、アクセサリー(のちの港町グッズ)を置く。
「児童書ゾーン」 絵本・児童書だけではなく、スイス製の木のおもちゃを扱う。
「芸術ゾーン」 海文堂ギャラリーを設け、書籍文化と他の知的文化との融合を試みる。

オープン記念催事

 ブックフェア

12.1512.31 「著名作家サイン本フェア」

82.1月 「私の時代、私のくらし、私のマイコン」 富士通の協力でマイコン各機種のデモンストレーションも。

 記念コンサート

2.3 田原冨士子ピアノトリオ  凬月堂ホール 有料イベント

 作家サイン会

12.26 足立巻一

1.9 灰谷健次郎

1.17 田辺聖子

1.23 陳舜臣

1.24 村松増美

2.13 筒井康隆

 1.201.31 陳立人写真展中国

☆ ギャラリー

1.31.31 日本画家名作リトグラフ展

2.12.15 ベルナール・ビュッフェ展
 
 まだ「大規模小売店法」があった時代。1215日は1階のみオープン。2階は翌年3月だった。

 


【写真上】 オープン時の雑誌広告(誌名不明)

【写真下】 新店舗風景

(平野)