2014年1月15日水曜日

月刊神戸読書アラカルテ(4)


 【海】史(10)―4

 『月刊・神戸 読書アラカルテ』(4)

 寄稿者のなかに「佐高信」の名ある。まだ総会屋系経済誌編集者時代でしょう。著書は何冊か出している。

6号 「極上の友」

9号 「極上の友 2

12号 「ある祝辞の『参考文献』」

16号 「淋しい花のさびしさ」

 


「極上の友」とは「おいしい本」を教えてくれる人。阪神間に関わりのある人を挙げる。

そのひとりが植村達男

――植村さんは私より4つしか年上でないのに、その文章には老成した感じがあって私を落ちつかせる。――

 植村が推薦する本を読み、互いに貸し借りする仲。

 ふたりめは某企業重役でかなり年上だが、あえて「友」と呼ぶ。歌人でもある。

 この平和虚構というか戦いに還らぬ学友(とも)らの澄みし瞳(め)に問う 菅野勇

 他に大学の先生、経済研究者。

 
「ある祝辞の『参考文献』」

 結婚式の祝辞の参考に江戸の都々逸、俳句を。艶っぽく刺激が強いかもしれない、と言いながら。

わたしの人ではないひとなれど よそのひとにもしたくない

梅にうぐいす あたしにあなた きょうもあしたも春げしき

…… 原残華『都々逸読本』芳賀書店

さりげなく交す瞳に秘めるもの

人目には幸せそうでないやつれ

…… 岡田甫編『現代春句』芳賀書店

 
「淋しい花のさびしさ」

 美しい花のそばに咲いた花は淋しい思いをしても、

――淋しさは、いつか、その花に、ある美しさを与えるかもしれない。――

 決して「辛口」だけの評論家じゃない。

(平野)