2017年1月10日火曜日

本屋、はじめました


 辻山良雄 『本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録』 苦楽堂 1600円+税 装幀 原拓郎 装画 吉野有里子

 荻窪の本屋さん、〈本屋 Title〉辻山良雄さんの本、『本屋、はじめました』が本日届いた。Titleさんで購入すると特典があると知り、注文した。

辻山さんは1972年神戸市須磨区生まれ。97年、リブロ入社、支店あっちこっち勤務(都内、久留米、福岡、広島、名古屋)を経て、2009年池袋本店マネージャー。157月同店閉店後退社。161月、東京・荻窪でTitle開業。


 



〈はじめに〉より
《 自分の本屋を開こうと思ったとき、それが困難なことであるとか、今の時代では珍しいことであるとかいうことは、特に考えませんでした。シンプルにそうしたいと思ったから、本屋をつくるにはどうすればよいのかということを、一つずつ積み重ねながら考えていきました。この本には、そうした積み重ねの経緯を書いています。 》
 
1章 前史  原風景 リブロ入社 福岡、広島、名古屋 「池店」の濃密な日々 閉店

2章 萌芽  母の話 すべてはこのために

3章 準備  どこの街でやるか なぜ「新刊、カフェ、ギャラリー」なのか POSレジは使わない カフェの進め方 ロゴデザインとブックカバー ウェブがつくる「信用」 定休日をつくる

4章 本屋開業  本を紹介するのが本屋の仕事 「邪魔をしない」という姿勢 接客の発見 イベントから始まるもの WEB SHOPオープン 店舗の外に仕事をつくる どんな本が売れたのか 店主の日常

終章  プロになりたい  一年目の結果、二年目の仕事 町の本屋のこれから Titleが閉店する日

 事業計画書、2016年の営業成績も公開。京都の誠光社・堀部さんとの対談も収録。
 カバー裏に周辺略図あり。

 辻山さんはWeb「毎日のほん」を開店の日から毎朝更新している。前述の「特典」はこの「毎日のほん」2016年分紙版。開店の日110日の「ほん」はサリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(新潮文庫)。「この本がなければ、そもそも本屋になっていなかったかもしれない。(後略)」。
 
 私はこのご時世、個人が新刊本屋を開業するのは無謀、というよりハナから無理と考えていた。辻山さんは、はじめた、そして維持している。店名Titleの前に必ず「本屋」とつける。プロの本屋の矜持である。だからすべて公開する。
(平野)
 昨年113日「毎日のほん」で拙著を紹介してくださった。ありがとうございます。