2020年4月28日火曜日

タコとミカンの島


4.27 新聞に古本屋さんたちの取り組みが紹介されている。
 高松市の〈なタ書〉が始めたのは自転車での配達、市内限定。よく見かける宅配サービスをもじって、「Uber Books」。郵送もできる。朝日新聞4.22夕刊より。
 京都〈古書善行堂〉は従来からネット販売をしている。このたび予算に合せて選書・配送するサービス「善行堂倶楽部」を開始。
 伊丹市〈古書みつづみ書房〉は今月初めから夜間の無人販売を始めた。また、一箱古本市の仲間とネット上の「みんなのひとはこ」をオープン。56日までの限定。朝日新聞4.27夕刊より。


 4.28 ギャラリー島田のDM発送手伝いは自粛、スタッフさんたちゴメン。

「くとうてん」がお手伝した本、倉掛喜八郎『タコとミカンの島 瀬戸内の島で暮した夫婦の話』(シーズ・プランニング)


 

 倉掛は神戸在住のグラフィックデザイナー。港、船、働く人を描いていた。80年代から本四架橋の工事で変貌する瀬戸内の海と人の暮らしを取材。阪神淡路大震災で被災、スケッチもノートも一部失う。生活再建のため絵から離れたが、2017年から瀬戸内めぐりを再開した。
 本書は愛媛県松山沖の二神島(ふたがみじま)と由利島を取材したもの。19848月、初めて二神島を訪れ、漁師夫婦にタコは豊漁か、と声をかけた。

〈声をかけると、男はチラッと私を見て、一瞬まばたきしたような。やせ細り、面長のほおがこけてシワ深い。長袖木綿シャツをはだけた胸にはアバラ骨が浮き上がる。(中略)大病でも患ったのか、腰が「く」の字に曲がる。だが、日焼けして精悍な漁師の風貌だ。〉 
 奥さんは微笑みを返してくれる。小柄ながら、男のような大きなこぶしをしている。  あとで無住の由利島に渡してもらうため町役場で紹介されるのがこの夫婦。以前からの知り合いのように接してくれ、濃密な取材が始まる。漁、ミカン畑、島の歴史、子ども時代、夫婦の暮らしなど。両島は親子島、二神の島民は漁業組合員でみな平等。相互扶助の精神で貧しい者は由利島で畑を作る「困窮島の制度」がある。


 倉掛の作品。手持ちの本『えほん 神戸の港と船』(のじぎく文庫、神戸新聞出版センター、1981年)と海文堂のPR誌の表紙。PR誌は〈Web神戸元町「海の本屋」アーカイブ〉でご覧いただける。



 

(平野)