2023年6月20日火曜日

樋口一葉

6.15 夕方になって明日上京することに。会社に無理を言って代行勤務できる人を手配してもらう。

6.16 昼東京駅近くの本屋さんで娘婿&長男と待ち合わせ。待っている間に『山頭火全集』(春陽堂書店)の日記の巻をパラパラ。

6.17 訃報、大投手二人。ドラゴンズ魔球・杉下茂、赤ヘルカープ精密機械・北別府学。ご冥福を。

ヂヂは「大」でも「投手」でもないけれど、肩痛こらえて粗大ゴミを片付ける。

6.18 「朝日俳壇」より。

〈端居して本を閉ぢれば雨の匂ひ (横浜市)近藤泰夫〉

6.19 訃報。「肝っ玉母さん」「御宿かわせみ」平岩弓枝。ご冥福を。

 

 『樋口一葉 ちくま日本文学全集』 筑摩書房 1992年 

解説 井上ひさし



 樋口一葉(18721896年)、本名奈津。貧しい生活ながら古典文学に親しみ、作家を志し、恋に悩む。結核のため24歳で死去。

〈七つというとしより、草双紙というものを好みて、手まりやり羽子をなげうちてよみけるが、その中(うち)にも、一(いち)と好みけるは英雄豪傑の伝、任侠義人の行為などの、そぞろ身にしむように覚えて、すべて勇ましく花やかなるが嬉しかりき。かくて九つばかりの時よりは、我身の一生の、世の常にて終らむことなげかわしく、あわれ、くれ竹の一ふしぬけ出でしがなとぞあけくれに願いける。(後略)〉「塵の中」より。

 作は悲劇。年譜を見ると、商売開業、借金の申し込み多数。妾の交換条件もあったが拒否。歌塾で代稽古を務めることもあった。生徒の多くは爵位持ちの夫人・令嬢や金持ち商人の娘。家に帰れば借金生活、私娼窟の女性たちのため代筆。井上ひさしは、一葉が明治女性の最上層から最下層までを知ったことを彼女の文学の特色の一つととらえる。

(平野)古文、擬古文。和歌・漢籍の引用や形容を理解できない。一文が長くて、主語がわからなくなる。要するに読める立場にない。はずかしい。でもね、人情噺的作品もある。

 一葉作品ではコオロギ(竈馬)は「かたさせ」と鳴いた。本書の註では、「コオロギの鳴き声をかたさせすそさせといった」とある。