6.1 「朝日新聞」神戸版に尼崎小林書店閉店当日(5.31)の様子掲載。紅白の幕を張ってお客さんに日本酒をふるまい、お別れ。
あちこち地域の本屋さん閉店している。ほんとうに本屋は絶滅の危機にある。
6.2 「朝日俳壇」より。
〈籐椅子のうしろ姿の読書人 (長崎市)村山信一郎〉
家人と映画「碁盤斬り」。落語の「柳田格之進」を改作。
6.3 勤め先マンションの野鳥。住民さんから、無事巣立った、と知らせあり。巣作りからひと月ほど。親は産卵、抱卵、餌取り。子は餌取り、飛び方を学習する。弱肉強食。自然の摂理は偉大で、厳しい。
巣を残し糞を落として鳥立ちぬ よおまる
「古書片岡」の通信22号届く。5月31日をもって店舗を閉店し、年内残務整理をして廃業される。今年の初めに店主にお会いした時、家主が代わるので立ち退きになる、と聞いていた。通信は年内発行するそう。15年間お疲れ様でした。
「ひょうご部落解放」2024年春号着。拙稿「おじさん読書ノート」は大江健三郎『親密な手紙』(岩波新書)紹介。本の友の追悼も兼ねた。
■ オリオン・クラウタウ 『隠された聖徳太子――近現代日本の偽史とオカルト文化』 ちくま新書 920円+税
著者は1980年ブラジル生まれ、東北大学大学院准教授、宗教史学専攻。
「聖徳太子」は日本史上の偉人のなかでも特別の人物。天皇を補佐し、政治・法を整え、外交を重視し、仏教に通じ、福祉救済事業などの業績を残す。戦前は天皇制国家の代表であり、戦後は「和をもって尊としとなす」民主主義の象徴となった。英雄には毀誉褒貶があって当たり前だが、この方は良いことばかり。宗教としての太子信仰も続いてきた。
古代の人ゆえ逸話・謎が多い。そのグレーゾーンにオカルトやトンデモ説が紛れ込む。たとえば、「厩戸王」は実在したが「聖徳太子」はいなかったという歴史専門家の意見から飛躍して、ユダヤ教・キリスト教と関係に発展する説。側近・秦河勝が渡来人の末裔であることから、やはりキリスト教と結びつける説。怨霊説、超能力者説など、明治以降の宗教家、著名小説家、学者、漫画家、オカルト作家らが語る「聖徳太子」像を紹介する。
〈……この百年は間違いなく、聖徳太子の物語が最も多様化した時代である。本書は、知られざる聖徳太子の一つの物語であると同時に、そのオカルトな(原文傍点)彼の「何か」に、生きる意義を求めてきた人々の物語である。〉
私が子どもの頃、一万円札と五千円札の肖像は「聖徳太子」、めったに見られない高額紙幣。
本書「あとがき」に初代林家三平の太子紙幣の歌「三平の聖徳太子の七不思議」が紹介される。現代もアイドルグループやミュージシャンが太子の逸話――大勢の人の意見を同時に聞いて判断――を歌にしている。カウンセラーとしての新たな「聖徳太子」が生み出されている。