2022年11月3日木曜日

駅の名は夜明

11.1 お江戸で見かけた本を探す。あるもの購入、ないもの注文。

11.3 本の棚詰めが終わらない。元通りに戻すことは諦めているが、片付かない。今しばらくは本のスキマで寝ることに。

花森書林、イシサカゴロウ展図録予約。ゴロウ画伯在廊中だったので、恩着せて着せて注文。孫の写真選びがひと仕事。

「みなと元町タウンニュース」Web版更新。拙稿は「光村利藻」最終回。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/


 髙田郁 『駅の名は夜明 軌道春秋』 双葉文庫 720+税



 鉄道、駅舎を舞台にした小説集。髙田郁は主人公をどん底に突き落とす。ヂヂは「サディスト」と呼んでいるが、彼女はヂヂを泣かせる「いじめっ子」でもある。

 幼い娘を亡くし夫と心のスキマができてしまった真由子。ウィーンにひとり旅立つ。夫と新婚旅行、娘と行こうと約束した場所。思い出の路面電車トラムに乗る。彼女は日本の空港で袖摺りあった美津子とウィーンで再会。美津子は夫の遺影と旅をしている。

「夢枕に立ってくれなくても、今、確かに傍に居る。そうとしか思えない瞬間があるの。悲しみに溺れている時には、まるで気づけなかったけれど」

 真由子にも奇跡の瞬間が訪れる。

 他に、美津子とウィーンの親切な青年、都心から北海道に転校した女子高生初日の途中下車、父母の離婚と小学生の一人旅、車椅子の妻と死に場所を求めて降りた駅「夜明」、などなど9篇。髙田漫画原作デビュー作品の小説化も。

しんどくても、誰かの支えで前向きになれることがある。

NOT DOING,BUT BEING――何もしない、でも傍に居る。〉

(平野)