2024年1月11日木曜日

父がしたこと

1.10 仕事中、頭の中で「雨の慕情」と「舟歌」がくり返し聴こえる。冷たい雨が少し降る。

「図書」1月号(岩波書店)「岩波新書〈新赤版2000点突破記念〉特集号」。南陀楼綾繁「岩波新書〈新赤版〉一〇〇一――二〇〇〇ななめ読み」他。



 夜、孫電話。妹は鼻の頭にスリ傷あり、デタラメの歌歌う。姉はチマチマしたおもちゃを並べている。猛獣妹が壊しにかかる。

 

 青山文平 『父がしたこと』 角川書店 1800円+税



 江戸末期、ある徳川親藩の藩主に持病があり外科手術が必要。執刀するのは華岡青洲の医術を継承する名医。目付の重彰は藩主の側近である父親から内密に知らされる。重彰の子も生まれてまもなく彼の手術を受けていた。藩主手術に失敗は許されない。親子連繋して秘密裡に計画、実行。無事成功するのだが……

 漢方と西洋医学の相克、公儀による蘭学排撃、ヒルコ神話に代表される迷信――障害を持って生まれた子の「間引き」を「子がえし」と正当化など、当時の医学事情を背景にした家族の物語、忠義の話と読んでいた。ところが、終盤に大きく動く。

(平野)