2024年1月3日水曜日

絡繰り心中

1.1 暖かい正月。早朝氏神さんにお参り。近所の集合住宅前に消防車とパトカー。サイレンは聞こえなかったから大事ではなさそう。

 年末、島根のハジメ牧師からの通信に、神戸の詩人・出版社主・レストラン経営者オオ氏の訃報。脳梗塞による突然死だそう。まだ60代半ば。ご冥福を祈る。

 ほろ酔い気分も吹っ飛ぶ北陸の大地震。自然相手に文句言っても詮無いが、まさに「泰平の眠りをさます」大災害。被災地の皆々様、お見舞い申し上げます。

1.2 孫姉は絵本『ねこふんじゃった』(リブロポート、1987年)を見ながらママとピアノ演奏。妹は「ねこしんじゃった!」と、はしゃいで踊る。絵本の絵は『わたしのワンピース』(こぐま社、1969年)の西巻茅子。

 今日は羽田で飛行機事故。

 


 永井紗耶子 『絡繰り心中 新装版 小学館文庫 710円+税



 2023年『木挽町のあだ討ち』(新潮社)で直木三十五賞・山本周五郎賞を受賞した著者のデビュー作。2010年刊行『恋の手本となりにけり』を改題・改稿した『部屋住み遠山金四郎 絡繰り心中』をさらに改稿。

 旗本遠山家の息子・金四郎は家を出て木挽町の芝居小屋で笛吹き。父の友で御家人ながら狂歌師・書家として名高い大田南畝が面倒見役。金四郎が吉原近くの田んぼで花魁の死体を発見。正義漢・金四郎が相棒役・歌川国貞と調べ、真相に迫る。

花魁の生い立ちと心中願望、相手の男は? 死体の太刀筋は? 事件関係者それぞれが封建制度の仕組み=絡繰りにもがき苦しむ。武家は武家の、商人は商人の重荷を背負っている。金四郎も同じ。南畝が諭す。見聞を広めるために町方にいるなら楽しめ、お前さんは逃げているように見える、旗本に戻るまで覚悟して楽しめ、と。

〈俺はね、武士が渋い顔して武士をやっているのが嫌いなんだよ。いつでも死ぬ覚悟がございって顔は見たくもねえ。あれは粋じゃねえ。生きるってことはな、覚悟がいるんだ。死ぬのも結構だが、しっかり生きてから言うんだな。死ぬだけならな、武士じゃなくてもできるのさ。〉

(平野)