2025年1月9日木曜日

もういいか

1.6 孫たち帰る。年末年始、ヂヂババは楽しく賑やかに過ごすごとができた。毎度別れは寂しい。でもね、ほっとするのも事実。祭りは終了。

 仕事始め。あいにく雨。

 本は、山田稔『もういいか』(編集工房ノア)。フランス文学者、小説家。鬼籍に入った学者仲間・文学仲間たちを偲ぶ随筆と短篇小説1篇。



 表題作は小沢信男(20213月死去)との思い出。山田の手許に手紙が残る。晩年はパソコンになったが、機械不調で手書きで「乱筆ごめんください」ということもあった。

〈たしかに跳んだり撥ねたりの踊るような文字で読みにくく、判読に苦しむ箇所さえあった。それでも息づかいがもろに伝わってくるようで、親しみがさらに湧いてくるのだった。〉

 最後の手紙は20207月、著書寄贈の礼と感想。「もはや文字がヨレヨレ」ゆえ印刷文字で許して、と。

〈ヨレヨレと言いながらも最後の、これだけは手書きの署名の文字は、何時ものように勢いよく撥ねていた。/小沢信男、当時すでに九十二歳。私はこのひとから三歩ではなく三年後からついて行くつもりだったのだ。しかし彼は十代のおわりに胸郭成形手術で肋骨を五本も失っている。その体でこれまでよく歩き、よく喋り、よく書いてきた。よく生きてきた。/もういいか。〉

1.7 図書館。山田稔の本で知った神戸ゆかりの画家評伝小説を借りる。秦恒平『墨牡丹』(集英社、1974年)、中央図書館にちゃんとある。

(平野)