2024年12月5日木曜日

象徴天皇の実像

12.1 師走とはいえ、季節感が混乱。すぐ日は過ぎる。

12.2 漢文入門の新書を読む。円満字二郎『四字熟語で始める漢文入門』(ちくまプリマー新書)。四字熟語を題材にして漢文読解の基本ルールを学ぶ。身近な熟語でも自分の理解と微妙に意味が違うことを改めて知る。本屋時代、自分で「大器晩成」と言っていた。大器は完成まで時間がかかる、と自嘲気味に。原典は『老子』、未完成のものほど偉大、という意味。このまま未完成で過ごそう。

12.3 天気良し。兵庫和田岬の和田神社にお参り。祭神は、天御中主大神(あまのみなかぬし、天地創造の神)、蛭子大神(ひるこ、えびす様)、市杵嶋姫大神(いちきしまひめ、弁天様)。神使・白蛇の「巳塚」も祀られている。年賀状用に絵馬(白蛇)を写す。

 

 原武史 『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む』 

岩波新書 960円+税



2021年から23年、岩波書店から『昭和天皇拝謁記――初代宮内庁長官田島道治の記録』(全7巻)が出版されている。田島道治(みちじ、18851968年)が昭和天皇と交わした会話や書簡、彼の日記など貴重な資料。表に出ることのなかった昭和天皇の日々の姿・言動(肉声というべき口調まで)が詳細に記録されている。国際情勢、占領下での日本社会の出来事、国内巡幸など、時に饒舌に意見を述べ、愚痴をこぼす。皇室内の家族問題、やんごとなき身分だからこその複雑な事情がある。

政治について、憲法について、自身の戦争責任や歴史観、家族・政治家・軍人らについても詳しく語っている。その発言には戦後民主主義をまだ理解し得ていないと思われるものもある。初の「象徴天皇」であるが、最後の「大日本帝国憲法」の天皇だった。平成の明仁天皇が戦争に対する反省を繰り返し述べた姿とはかなりずれる。

(平野)