2023年12月14日木曜日

蒐集する猿

 12.10 家人と家の中掃除。大掃除まではいかない。

「みなと元町タウンニュース」Web版更新しています。拙稿は西村貫一蔵書票原稿のこと。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/376.php

12.11 古書愛好家・高さんから手紙と古い雑誌の竹中郁随筆1ページ届く。戦後すぐの竹中新聞記者時代(「神港新聞」に1年半在籍)のこと。西村貫一と「神戸人、神戸を愛する会」をつくろうという話。西村は既にへちまクラブを始動、竹中も児童詩誌「きりん」に取りかかる。「会」は実現しなかったが、それぞれが志を持って活動した。

高さんは新刊本準備中、来春予定。

12.13 4年ぶりに職場の忘年会。ベテランさんたちが退職して、顔ぶれだいぶ変わった。

 

 坂崎重盛 『蒐集する猿』 同朋舎発行 角川書店発売 




2000年発行。10月の神保町古本まつりで買った。

 著者は元造園家で、編集者、エッセイスト。いろいろ蒐集家、もちろん古書愛好家。自慢の蒐集品披露。ステッキ、東京本、それに影絵、富士山図、ひょうたん。

 本や紙モノ蒐集はわかる。ステッキにひょうたんとは?

〈なんでステッキなんだ。/そんなこと知るか。とにかく気がつけば、この無用の長物、ステッキに関心を持っていた。〉

 海外旅行先でその国固有のデザインを見つけては入手。「カサばるんだよ」。そうでしょう。

 昭和初期の漫画、漱石、鷗外はじめ作家たちのステッキ話、銀座のステッキ・ガールなど〈ステッキ系の人々〉〈ステッキ文芸〉の数々紹介。

 で、ひょうたん。

〈言い訳するようだが、もともと私自身も、ひょうたんなどに興味をもつはずじゃなかった。/昔、田舎の床の間などにぶら下がっていたひょうたん、妙に爺々むさく、訳知り風で、おさまりかえったような文人臭が、というかワケ知り風の禅味がうっとおしかった。とくに、あのテラッと黒光りするテカリが。〉

 ところが、中国や香港で「ひょうたんそのものではなく、工芸品としての小さなひょうたんの置き物が目につくようになった」。友人知人からもひょうたん類が届く。世の中にはひょうたんに因むものが満ち満ちているそうだ。正統なる美術品は美術館やお金持ちに譲って、「当方は外道に徹するしかない」。

物心ついた頃から「紙片愛好症」「図版フェチ」。

(平野)