11.22 「朝日新聞」夕刊に筒井康隆インタビュー記事。〈「最後の作品集」筒井康隆のたくらみ〉。
11.23 プロ野球セ・リーグ、パ・リーグ共に関西チーム優勝で盛り上がり、本日大阪と神戸で両チームパレード。大勢のファンが集まるでしょうから、繁華街には行かない。
11.26 「朝日俳壇」より。
〈案の定ランボー読めば風邪ひけり (栃木県壬生町)あらゐひとし〉
「朝日歌壇」より。
〈断捨離し残せし一冊携へてあの世で読まむ「悪魔の辞典」 〈沖縄県〉和田静子〉
〈多読より味読がだいじと言ひ訳し古るる眼(まなこ)と脳(なづき)いたわる (さいたま市)松田典子〉
〈『日本産ゴキブリ全種図鑑』とふ書名妖しき呪文のごとし (八尾市)水野一也〉
〈若者はやはりとやかく言われてる五十年前の「暮しの手帖」 (宝塚市)小竹哲〉
『日本産ゴキブリ全種図鑑』は本年8月、北海道大学出版会より。
https://www.hup.gr.jp/items/78971974
亡父の17回忌、お寺で法要。妹二人と姪、ヂヂババ、実家と墓のこと相談。
■ 富士正晴 『新編 不参加ぐらし』 荻原魚雷編 中公文庫
900円+税
富士正晴(1913~1987年)、徳島県出身、兵庫県立神戸三中(現県立長田高校)卒業、旧制三高中退。戦後島尾敏雄らと同人誌「VIKING」創刊。ここから多くの新鋭作家が巣立って行った。大阪府茨木市の竹林に住み、めったに外出しない。本に新聞、執筆、絵、それにウィスキー。世間から少し離れて暮らして、戦後の社会を見つめる随筆集。自分のことを、知恵も手腕もないオッサンが会合に出たり人に会っても迷惑になる、と言う。
〈だから、ふっと気の迷いから出て行くような気にならぬよう、自らを戒めて、この十年近く歯を磨かず、ひげを剃ることを怠り、外出ぎらいを極め、不参加ぐらしを信条としている。字を読んで、字を書いておればそれでいいだろうと思っている。自分を大して評価していないということらしい。〉
自分は健康であっても長寿は嫌と言う。自死や治療拒否など死に方を選択した作家仲間もいる。「VIKING」の秘蔵っ子・久坂葉子のこと。
〈どうしても自殺しようと固く意志している者を自殺から遠ざけ断念させようとすることは、久坂葉子の時失敗してから、そのようなことは無用であり、いらぬおせっかいらしいという気がしてきた。(後略)〉
初版は1980年六興出版刊。今回荻原が新編集。初版とはかなりラインナップが異なる。荻原は富士の文章を読むと、「自分の正しさを前提にした思考が揺さぶられる」。「揺さぶられたいからくりかえし読む」。情報過多の現代、「精神をすり減らさずにいるには、多少は“不参加”の時間が必要なのではないか」。
外出嫌いでも歯磨きとひげ剃りくらいはやろう。
(平野)