5.6 やっぱり未読のコミックあった。『高丘親王航海記』第3巻、第4巻(原作澁澤龍彦、漫画近藤ようこ、KADOKAWA、2021年)。
5.8 連休中に職場マンションの住民さんがお亡くなりになった。奥様からお知らせいただく。お会いするたび声をかけてくださった。療養中のためしばらくお目にかかっていなかった。ご冥福をお祈りいたします。花壇の木に数年ぶりに野鳥が巣作り。
5.9 来週臨時出勤が2日あって、どちらも初めての職場ゆえ下見に行く。垂水行って、兵庫に。その足でお役所に書類再提出。
5.11 未明、家人の従姉訃報。
5.12 「朝日歌壇」より。
〈捨てられて収集人が来るまでに百科事典が見てた青空 (甲府市)村田一広〉
「桂吉弥独演会」、サンケイホールブリーゼ。噺家生活30周年、半年にわたる全国ツアー初日。開演前のリクエスト上位3本「ちりとてちん」「崇徳院」「はてなの茶碗」を熱演。
「BIG ISSUE」477号、特集「ガザ76年」、478号スペシャル企画「坂本龍一」。
5.13 従姉通夜。
■ 澤田瞳子 『星落ちて、なお』 文春文庫 810円+税
2021年、第165回直木賞受賞作。幕末から明治初期の絵師・河鍋暁斎(きょうさい)の娘とよ=画号・暁翠(きょうすい)の生涯を描く。
暁斎は浮世絵、狩野派、土佐派はじめ様々な画法を学び、風刺画も手がけた。弟子は200人を超える人気絵師。逸話も多く、幼い頃から自分の家の火事や水死体を写生し、臨終間際には自分を看取る人びとを描いてみせた。画鬼と呼ばれ、絵師として生涯を全うした。子のうちでも絵の技量を見込んだ長男ととよを鍛えた。子にすれば、偉大な父を超えることはできず、また父の画風・業績を絶やしたくない。父が誇らしくもあり、憎くくもあり、愛憎相半ば。「血ではなく墨によって結ばれた」親子。とよは父の弟子(後述)の言葉から幼い日を思い起こす。
「絵を続けているのは、そこに少しなりとも喜びがあったためではないですか」
父が描いた鳩の絵を手本にもらった時の喜び。
〈あの刹那の喜びはぽっかりと澄明で、生きる苦悩も父や兄への憎しみも、何一つ混じってはいなかった。だとすれば暁斎が真実とよに与えたのは、延々と続く絵師の火宅ではなく、火花のごとく眩く、だからこそ永遠に失せぬ澄みきった煌めきだったのではないか。〉
暁斎の弟子で支援者でもある鹿島清兵衛という人物がいて、本書で重要な脇役。大きな酒問屋の婿養子で趣味人。長男を亡くしてから放蕩。人気芸者を愛人にして、最新設備の写真館を作り、とうとう廃嫡させられる。落ちぶれたが、得意の笛で能楽の笛方となる。
(平野)