2024年5月4日土曜日

放浪・雪の夜

5.2 ギャラリー島田DM作業にお呼びがかかる。ヂヂのボケ防止の脳トレ・リハビリ。ときどき手指が痙る。

5.3 連休で曜日を間違えるが、害はない。約束も予定もない!

 

 織田作之助 『放浪・雪の夜 織田作之助傑作集』 新潮文庫 630円+税



織田作之助(191347年)は活動期間短いけれども、「オダサク」は今も人気作家。太宰治や坂口安吾らと並んで「無頼派」とされるが、この呼称が広まるのは戦後10年ほど経ってから、と知る。ということは、彼らは「無頼派」と呼ばれていることを知らない。

〈作之助が自称したのは「軽佻派」だった。(中略)戦時下の生真面目な風潮に背を向け、軽佻浮薄に映ることを怖れず、自ら心の動くままにふるまった。〉(解説 斎藤理生)

表題作の「放浪」は料理屋に婿入りした男の出奔人生、「雪の夜」は都会から落ちぶれたカップルの話。

 私が面白く読んだのは「四月馬鹿」。先輩作家・武田麟太郎を懐かしむ。

「神経」は少女歌劇から歌舞伎、新劇、ラジオアナウンサーなどなどの台詞回しや型、紋切り調子への苦言から始まる。自己批判でもある。歌劇ファンの家出少女が死体で発見されたことから、千日前界隈の芸人や商売人の話になる。女優たちが少女のため供養の地蔵を建立する。空襲後と敗戦直後に、織田は雑誌に千日前の人と復興の様子を書いた。無理やり美談にしたようで自己嫌悪に陥るが、人びとは喜んでくれ、励ましになっていたと知る。「波屋書房」が登場。

バカ正直な人物が主人公の「人情噺」と「天衣無縫」も良い。

(平野)