2014年4月25日金曜日

鳩よ! 特集 稲垣足穂


 『鳩よ!』19927月号 マガジンハウス

特集 稲垣足穂 天族作家とただいま交信中

目次

異次元からのマジカル・メッセージ 『一千一秒物語』から
聖三角形Y・M、T・S、T・Iそして  高橋睦郎
軽さの蒐集室 タルホ・プラネタリウム  種村季弘
物質の将来に梯子をかけて唯々諾々の星を盗る  松岡正剛
「瞬間」の形而上学  鎌田東二
二十一世紀ダンディー心得帖  香川眞吾
コリントン卿の幻想  稲垣足穂
TAROUPHOめもりある  萩原幸子
タルホ・アンケート集 超時空からのアンサー
タルホとワタシ
TAROUPHO GALLERY  七人のアーティストが描く タルホ・ワールド
赤い雄鶏(パテエ)探して…タルホの旅  文・永田守弘 写真・高嶋清俊 
(三島・澁澤対談は以前紹介したものと同じ)

 

高橋睦郎
 イニシャルは三島由紀夫、澁澤龍彦、稲垣足穂。それぞれとの出会い、その後の関係。
 高橋が京都の足穂を訪ねたのは65年の夏か秋。それからは年に56回。

……稲垣さんはそこで夏は褌一本、冬も褌の上に浴衣だけで執筆している。原稿用紙は同人誌「作家」から送られてくる原稿ガラの裏面に罫を引いたもので、鉛筆はそれだけでもなかったろうが削り節の付録のそれだけが印象に残っている。

 博覧強記で知られるが、本は広辞苑だけ。あとは封書、葉書の束とメモ。

 訪問客があると酒になる。ぼくは酒が好きやない、嫌いやから飲むんです、だいたい好きで飲むなんて猥褻やないか、というのが口癖だったが、同じ論理でいけば、客が好きやない、嫌いやから会うんです、ということになるだろうか。猥褻の反対はダンディズムだろうから、来客へのサーヴィスは稲垣さんのダンディズムだったのだろう。ほとんど早口の独り語りだが、語りの内容は美少年からヒップナイド、かものはしから無底の宇宙、インド哲学から見だしなみ、そして小説たれかれの悪口……と、とめどがない。
 

(平野)