2024年3月3日日曜日

幾世の鈴  

 3.2 午前中図書館。元町原稿は4月掲載分で「西村旅館」終了。17回もかかってしまった。さて次回から誰にするか。

先日紹介した衣巻省三の『黄昏學校』(版画荘文庫、昭和12年・1937年)貸出可で、ありがたいこと。

3.3 「朝日俳壇」より。

〈如月の兜太の遺影書架にあり (川口市)青柳悠〉

 ひな祭り。お雛様も読書、下記写真。

 

 髙田郁 『幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻 下』

ハルキ文庫 700円+税



 シリーズ13巻終了して、その後の登場人物たち、主に脇役たちを主人公にしたスピンオフ作品集2冊目。脇役もみんな魅力がある。作者のサディストぶりは健在。時の流れによって、年配の登場人物が亡くなるのは仕方がない。でもね、若い歌舞伎役者の二代目菊瀬吉之丞を急死させてしまうのは腹立つ。さて、内容。

1. 大阪本店八代目店主・周助の決断。

2. 四代目の元妻で幸の盟友・菊栄(きくえ)の新たな商品開拓。

3. 幸を裏切った妹・結(ゆい)。ライバルとなるも失脚、江戸を追われ播磨に。

4. 五鈴屋創業100年を迎え、還暦の幸と夫=九代目・賢輔が次の100年に向けて後進に残すものとは。

 読者としては次の物語を待ちたいが、まだまだこのシリーズの続きも読みたい。作者も、〈作家として「描きたい」「書かずにいられない」題材が私にはあります〉とのこと。また「タイミングを見計らい、五鈴屋の後継者たちの物語を、不定期にお届けしよう」とも。我らは待つしかない。

(平野)